第3話 ハチと取引 ⑽
ハチを小さいサイズにすることが成功した。
小さいサイズで通信ができるなら、耳に蜂をセットすればイヤホンみたいにできるじゃん。虫型というか虫イヤホンってかっこよくない。
「これなら人間にも見つからずに偵察できそうだね」
「そうですわね。あとは偵察部隊からすぐに連絡を共有できるように、アリと蜂が一緒に行動すれば冒険者に襲われることが減りますわね」
「そうだね。アリと蜂の部隊の編成はクインとオルミーで決めてくれる。あと私にも1匹働き蜂を貸してくれない?」
「いいですよ」
「わたくしも問題ないですわ。あと凜さんには……」
「私がなります」
一昨日から連絡を取り合ってる働き蜂が立候補してくれた。
「それじゃあ、よろしく。えっと、連絡蜂さん」
「はい」
呼び方は案内アリさんにそろえたつもりだけどダサいかな……
「とりあえず今日はこのくらいで良いかな」
「そうですね。この後、私は働きアリに蜂が住める空間を作るように言っておきます。明日にはできると思います、クインさん」
「クインで良いですわよ、オルミーさん。わたくしたちも引っ越す準備をしておきますわ」
「私のこともオルミーで良いですよ」
「それじゃあ私のことも凜で。あと一つ気になってたんだけど人間って魔物の住処とか魔法について知らないの?」
さっきの話でハチの巣を木の葉で隠していると言っていたが、巣の大きさ的に冒険者に見つかってもおかしくない。というか今まで見つからなかったのが不思議だと思っていた。
アリの巣もそうだ。見つかりにくい場所に穴を掘っているが、探そうと思えば見つけられるはず。そうすれば一気に魔石を獲得できる。
だから、もしかすると人間はハチの巣が木に作られることなど、魔物のことを知らないのではと思った。
というか人間のことをもっと調査してから人攫いをすれば良かった。さすがにそろそろ町に入れなくなりそうだ。6人も子供を攫って殺してるから。
もしかすると指名手配されてる可能性すらある。
本当にミスった……
「多分知らないと思いますわよ」
「私もそう思います。人間は私たちの魔石しか見てないですから。それに私は子供達に人間に見つかったら巣ではない方に逃げろと教えてるので」
案内アリさんは素直に私を連れてきてくれたけど……
「わたくしもですわ。本当はそうしたくないですけどこれも生きるためですわ」
やっぱり人間と違って賢い。それに比べて人間はクソだ、神はクソゴミだ!
でも愚かな人間のおかげでこちらは有利になれるはずなんだけど……私のミスでこっちも人間の事が分からない……私も人間って事なのか、それだけはイヤだ!
「前にオルミーには聞いたけど、クインって人間の魔法とか文化について知ってる?」
「さっきも話したとおりわたくしはオルミーより若いから、オルミー以上に知らないですわ」
「そうだよね。やっぱりフクロウを仲間にするしかないのか」
こうなってくると本当に計画性がない私が戦犯に思えてくる。
「フクロウですか?確かにフクロウは頭が良いと聞いたことがありますわ。でも見つけるのはとても難しいですわよ。わたくしたちは生きているフクロウを見たことがないですわ」
「そうなんだよね。まあ他の魔物を仲間にしながら、探していくしかないね。それじゃあ今日はこれくらいで。あ、人間はいつ渡せば良い、クイン?」
「できれば今日でも良いかしら。今日寿命の子もいるので」
「了解。じゃあ、今日の夜、働き蜂全員で来てくれる?」
「分かったわ。それじゃあ一端巣に帰るわ」
「じゃあね」
ニホンミツバチたちは帰って行った。
オルミーも今決まったことを働きアリたちに伝えるために部屋から出て行った。
そのため部屋には凜1人になった。
凜はクロヤマアリに続いてニホンミツバチとも仲間になることができた。
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