第3話 ハチと取引 ⑹
「ただいま、オルミー」
「おかえり、凜。それでどうなった」
「まだミツバチとは交渉中。それで明日女王バチのクインがここに来ることになったんだけどいい?」
こういう連絡もミツバチと仲間になればその場ですぐにとれるようになるな。
「それは問題ないですよ。今日も町に行くんですか?」
「そろそろ警戒されはじめてそうだから行かない。とりあえず働きアリの寿命が近くなるまでは戦力を集める予定」
「そう、それなら今日はもう出かけないのですか」
「うん、その予定。だからこれからの予定とか話そう、オルミー」
「そ、そうですね。それなら、私の体触りながら話します?凜は触りたいでしょ」
「うん、そうする。最近ずっと触ってるからか、少し触ってないとすぐに触りたくなるんだよね。スリスリ」
「う、私も最近はやることがないからこれくらいならいつでもしていいですよ」
しばらく無言でオルミーの体をスリスリした。オルミーは私の邪魔をしないように声を抑えていた。
「そういえば、ニホンミツバチの魔法は仲間と通信することができるだったよ」
そういえば今日もニホンミツバチの特徴があるのか見るの忘れた。能力に夢中すぎた。
「そうなんですね。人間を倒すことはできないですが、かなり優秀ではないですか」
「そうなんだよ。あとさナミアゲハの能力って知ってる」
勝手に身代わりと決めつけていたが実際はどうなのか確認していなかった。
「たしか身代わりと聞いたことがあります。多分ですよ。でも正直使いどころがないですよね」
「やっぱりそうだったの」
「やっぱりって、あ、……」
「もう大丈夫。ナミちゃんは私に勇気をくれたから。魔物の地位を上げるまではもう悲しまないから」
ポケットに手を入れて小さな標本箱を握る。
「……そうですか」
「うん、それでなんだけどさ、もしかして魔物の魔法ってかなり優秀なのではと思ったんだけど、クロヤマアリの穴を掘るって魔法、なにか他にも効果とか無いの?さすがにクロヤマアリだけ弱すぎると思うんだよね」
だってこれだけだったら地球のアリよりも優れてるのが大きさしかないもん。いや大きいせいで見つかりやすいから、優れてるところがないことになる。
そういえばなんでニホンミツバチの魔法が通信なんだろう?
ナミアゲハは再生の象徴だから身代わりって事だと思うんだけど。
ミツバチは巣の形成のために共同作業をし、ダンスとかでコミュニケーションを取ることから協力のシンボルであるから、みんなで連絡を取り協力すると言うことから通信なのかな?まあミツバチには他にもいろいろな意味があるけど。
もしかしたら地球で言われていたスピリチュアル的な意味をもとに魔法が決められてる可能性があるよね。なんでかは分からないけど、種族名もそのままだし。
「そうなんですかね?クロヤマアリの働きアリたちは穴を掘る以外はできないですよ。それに自分が使える魔法は分かるんですよ。だから間違ってないと思いますよ」
「そうなのかな……」
アリのスピリチュアル的な意味は熱心や目標達成、勤勉などだ。アリの行列は協力を意味している。
他にもアリの存在が気になるときは仕事などに熱中しすぎたりしていて、周りが見えていないことを表している。まあこの世界のアリは大きすぎるから気にならない方が難しい気もするけど。
蜂と蝶だけ優遇されてるのか?
いや、優遇されてるわけではないか、人間にすぐにやられるのだから。それにナミアゲハの魔法なんて使うところないもんな。クソ神、死ね!
「魔法が優秀で思い出したんですけど、フクロウを仲間にするのはどうですか」
「フクロウ?手前側にいる魔物なの?」
フクロウか、フクロウもいろいろな色の種類がいるけどこの世界では何色なのだろうか。
「フクロウはとても賢くて、安全な場所にいつもいるんです。だから手前にいたり、奥の方にいたりします。そしてフクロウの魔法は多分ですがとても頭が良いのようなものですよ。人間の町や魔法についても詳しいはずです」
「なんかフクロウに関して詳しくない?」
「フクロウは賢いですけど私たちよりも弱くて、魔石を獲得できないんです。だから時々、寿命で死んだフクロウがそのへんに落ちてるんです。私はこの10年20個近く魔石を食べましたが、4つはフクロウです」
魔石1つで半年寿命を延ばせるから20個か。多いのかいまいちピンと来ないな。
「そうなんだ。弱くて頭が良いなら早めに仲間にしときたいね。人間の町や魔法については私も全く分からないから知りたいんだよね。特に人間が使う魔法を知らないと対処法も考えられないからね」
それにフクロウってアニメでも使い魔として出てきたから、この世界で仲間にできたらかっこよさそうだし。
「でも見つけるのが難しいんですよね」
「まあ簡単に見つかったら、賢いとは思えないね。とりあえずフクロウは保留だね」
「そうですね」
「あとは明日の段取りを決めて、寝よう」
「そうですね、凜」
その後、明日のニホンミツバチとの話し合いについて話して一緒に寝た。
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