第4話 夕方の教室

 薄暗い夕方、静まり返った教室で、放課後の雑談を楽しんでいた生徒たちが、突然の校内放送に耳を奪われた。


「全校生徒に通告する。これより、サバイバル戦を開始する。勝者はただ一人となるまで続行。規則に従い、各自指定されたエリアへ移動せよ」


 最初は冗談かと思っていたが、教室のドアが自動的にロックされ、校舎の外に通じるすべての窓や扉が塞がれていることに気づいた瞬間、場の空気が一変した。生徒たちはざわめき、恐怖に包まれた視線を交わす。腕には知らぬ間に装着されていた装置があり、青白いディスプレイにはカウントダウンが表示されていた。


「これって…どういうこと?」クラスメイトの一人が声を震わせてつぶやくが、誰も答えを出せない。ただ、装置に従って動かないと爆発するかもしれない、という恐怖に突き動かされ、仕方なく指定されたエリアへ向かうことになる。



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 最初の指定エリアは体育館だった。生徒たちは無言のまま集合し、緊張した表情で周囲を警戒する。その中で、成績優秀で冷静沈着な黒田が声を上げた。


「冷静に考えろ。どうやらこれは、誰かが意図的に仕組んだものだ。そして、生き残りをかけたルールがあるらしい。だが、俺たちはパニックになる必要はない」


 だが、すぐに異変が起きた。いきなり体育館の中央に現れたのは、運動部エースで喧嘩も強いことで有名な佐藤だった。彼の目つきが変わり、周囲を見渡しながら拳を握りしめていた。


「悪いが、俺は誰かが生き残るまで待つつもりはない。始めるぞ!」


 そう言い放つと、佐藤は隣にいた生徒に向かって突進した。驚きと悲鳴が周囲に響く中、黒田は静かに後退し、校舎内の地形を利用して冷静に逃げ道を探していた。



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 次の数時間、校舎内は戦場と化した。生徒たちはそれぞれ、道具を武器に変えたり、机やロッカーをバリケードに使ったりと、必死に生き残る術を見つけ出していった。だが、次第に友情が崩れ、仲間だったはずの生徒たちが敵と化していく。


 黒田は理科室に潜み、物陰から他の生徒たちの動きを観察し、静かに彼らの行動パターンを分析していた。彼は無駄な戦闘を避け、機会を待ち続けるつもりだった。しかし、その時、背後から気配を感じる。


「隠れてばかりじゃ、生き残れないぜ」


 振り返ると、そこには佐藤が立っていた。黒田は冷静に傘を握りしめ、慎重に間合いを詰める。防御用に特注したこの傘が、最後の希望かもしれない。


「勝者はただ一人だ。それがこのゲームのルールらしいが…その座にお前がふさわしいとは思えない」


 互いに一歩も引かず、次の瞬間、激しい戦いが理科室で始まった。




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