第3話 サバイバル
1997年、黒田は中学3年生。普通なら、受験や部活、友達との最後の中学生活を楽しむ年。しかし彼の青春は、どこか陰りを帯びたものだった。成績はトップ、スポーツも万能、どこか冷静で大人びた彼に、周囲は一目置いていたが、黒田自身は孤独を抱えていた。クラスメートと仲良くすることもなく、部活もせず、放課後は学校の片隅で本を読むのが日課だった。
そんなある日、クラスの人気者で運動部のエースである佐藤が話しかけてきた。活発で明るく、黒田とは正反対の性格の佐藤に、黒田は最初戸惑いを感じる。しかし、次第に彼らは互いに強いライバル心を抱き、またそれ以上にお互いを理解するようになる。学校のテストで競い合い、放課後の体育館でバスケットをしたり、様々なことで互いの力を試し合う日々が続いた。
佐藤は黒田にとって初めての「友」と言える存在になりつつあったが、心の奥では不安が渦巻いていた。黒田には、他人に心を許せない理由があった。過去の家庭環境や、親しい人を失った経験が彼の心を閉ざしていたのだ。しかし、佐藤はそれにも気づき、何も言わずにそばにいてくれる。その無言の支えが、黒田の心を少しずつ開かせていった。
そんなある日、放課後の校内で、二人はいつものように競い合いながらふざけていたが、突然校内放送が響き渡った。「これより、学校内でのサバイバル戦を開始する。勝者はただ一人…」。不可解な放送に校内は騒然とし、逃げ場を失った生徒たちの中で、黒田と佐藤は互いに背中を預け、決して屈しない決意を抱く。
1997年の夏、黒田の青春は、友情と試練が交錯する劇的な物語となって幕を開けたのだった。
放課後の静まり返った学校。突如、校内放送が響き渡り、冷たい声が告げる。「これより、学校内でのサバイバル戦を開始する。勝者はただ一人。逃げる場所はない…覚悟を決めろ」
生徒たちは戸惑い、やがて恐怖に包まれるが、校舎の出口は全て封鎖されていた。そして、各自に配られた腕時計型の装置にはカウントダウンが表示され、指定されたエリアへ向かうよう指示される。そこに行かなければ装置が爆発する仕組みだと知り、全員が渋々従うしかなかった。
親しい友人が次第に敵と化し、仲間と信じていたクラスメートが裏切りの牙をむく。中でも成績トップで冷静な黒田と、運動部エースの佐藤は互いにライバル心を抱き、校内の至る場所で激しくぶつかり合う。
二人は、図書室や体育館、理科室を舞台に攻防を繰り広げるが、やがて他の生徒たちもそれぞれのスキルや戦術を駆使し、生き残るために必死で戦う。戦いが進むにつれ、学園生活での友情や信頼が崩れていく。
そして、最後の一人になった時、勝者には何が待っているのか…それは謎のままだ。
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