EITOエンジェルズ総子の憂鬱(仮)61

クライングフリーマン

61.新ビールス新枠朕

 ===== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。現在は休暇中。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。

 大前(白井)紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

 神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。

 芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

 用賀(芦屋)二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。大阪府警テロ対策室勤務。通称佐々ヤン

 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。

 幸田仙太郎・・・南部興信所所員。

 花菱綾人・・・南部興信所所員。元大阪阿倍野区の刑事。

 横山鞭撻・・・南部興信所所員。元大阪府警の刑事。

 新開晴喜・・・大正晴喜病院院長。二美の元カレの1人。

 池上燿子・・・池上病院院長。医療ネットワークMWNを立ち上げた。

 宮田先生・・・元京都大学准教授。ビールス学の権威。拉致監禁されていたが、EITO大阪支部に救出された。

 加計先生・・・宮田の協力者。大阪公立大学元教授。


 =====================================

 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


 ※芦屋グループとは、正式には『芦屋総合産業自助共助組合』の通称である。

 芦屋三美は、父の遺志を継いで『総帥』として束ねている。昔風に言えば、「コンツエルン」の企業集団だが、三美達の地親は、忌み嫌い、単にグループと呼ばせていた。


 午前8時。総子のマンション。

 南部が歯を磨いて戻ってくると、いつもなら「おはよう、寅次郎」と言って目を覚ます総子が目をつぶって唸っている。

 南部は総子の額に手をかざすと、熱い。

 そこで、コロニーが流行った時に入手した『非接触型体温計』で計ると、37.9度あった。

 この時の南部の行動は絶賛されることになる。

 南部は、EITO大阪支部とのホットラインで『欠席』を留守電に残し、二美のスマホに電話した。

 二美は、結婚前は、一つ上の階に住んでいて、総子と共に出勤していたが、今はマンションに移ったので、自家用オスプレイで総子を『お迎え』に来ていた。

 二美が常時使用しているオスプレイも、EITO大阪支部のオスプレイも芦屋グループのものである。EITO大阪支部は、途中から協賛出資したEITO東京本部と違い、芦屋グループのものである。

 総子達の住んでいるマンションは、本来なら賃貸マンションだが、芦屋グループの寮になっている。

 マンション部分は、芦屋グループの『林立する』自社ビル群の内側にあり、マンション部分の後方に雑木林があり、オスプレイは、地下駐車場のある地下一階から『発進』する。

 元々『高級住宅街』として有名な帝塚山の立地を生かしてのエリアなのである。

 二美から連絡を受けた智子は、すぐに南部の部屋に来て、南部がおぶった総子と共に、地下二階の駐車場にあるランボルギーニに乗せた。

 複雑かつ秘密の構造ゆえ、救急の場合でも、救急車を呼べない。

 社員で急病人が出た場合でも、芦屋総合産業自助共助警備保障の警備員が病院に運ぶ。

 二美が、オスプレイで到着、地下一階から地下二階に降りて来て、合流し、智子はランボルギーニを発進させた。

「大正晴喜病院に連絡が取れたわ。智子、お願いね。」「はい、お嬢様。」

 友田家は、先代の頃から芦屋家の使用人として仕えてきた。

 派遣家政婦(家事ヘルパー)として、芦屋の社員を送るにあたり、総帥である三美には迷いがなかった。

 午前9時。大正晴喜病院。ICU。

 医師達が懸命に処置に当たる。

 紀子がやって来た。

「事件が起きたので、大前コマンダーが前線指揮に当たって、司令室では、芦屋総帥が指揮を執っておられます。」と、紀子は南部と二美に報告した。

 南部は既に、移動中、興信所の指揮を幸田に任せていた。

「いつなんどき」は、いつ起るか判らない。今は「いつなんどき」だった。

 担当の新開医師が出てきた。

「どうも、新種のビールスらしい。点滴やコロニー治療薬も効かない。新しい医療ネットワークMWN(Medical Worker's Net)にウチも参加したので、東京の池上医師に連絡を取って、MWN経由で宮田教授にサンプルDNAを送りました。いよいよ、那珂国の散布が始まったのかな?と思っています。あ、ご主人。奥さんに今朝、そのう・・・接触しましたか?」

「いえ。皮膚感染するんですか?」「可能性はあります。他に患者が出れば、うつされた場所は判るかも知れないが。」

「場所は判りました。今、府警にいる妹からメールで連絡がありました。南部さん、『NPO法人なんかなんかい』に逮捕に行った警察官で高熱が出た者がいるそうです。」

「二美さん。大変な組織と関わっておられるんですね。僕はついていけなかった。結婚されたそうですね。ああ、こんな時に暢気なこと言ってる場合じゃないな。」

 新開医師が頭を掻いていると、看護師が跳んできた。

「先生。池上先生から緊急連絡です。」

「よし。患者に異変があったら、呼んで。」新開医師は全速力で走って行った。

「ここの病院は、走ってええんや。」と、南部は1人呟いた。

 午前10時。大正晴喜病院。院長室。

 PCのディスプレイに池上医師が映っている。

「先生。新種のビールスです。宮田先生によると、コロニーの亜種なら、『第三俯株MO3.0』なら、枠朕のDNA解析が済んでいるので、治療薬を作ることが可能だそうです。加計先生が大阪に戻っておられるので、急いで試薬を作るようにお願いしたそうです。」

「試薬?治験の余裕がないのですね。」

「構いません。総子で実験して下さい。総子の命は、被害にあった警察官の命。どうぞ、実験台に使って下さい。」

 南部は、泣きながら、新開医師に頭を下げた。

「私からも、お願いするわ。晴喜、お願い。」と、二美も頭を下げた。

 新開は、泣きながら、頭を縦に振った。

 午前10時。阿倍野区。新田歯科クリニックが入っている雑居ビル。

 大前達が駆けつけた時は、ほぼ半焼の状態だった。

 昔ながらの雑居ビルで、テナント利用者も多かった。

「コマンダー。取り敢えず、避難誘導の応援頼むわ。マスコミが邪魔して、なかなか移動できへん。消防がなんとか確認して、2階の歯科クリニック以外はビルには誰もおらんが、2階は『皆殺し』状態や。」

「判った。ジュン、ぎん、小町、3班に分けて誘導。用賀君。総帥に連絡してくれ。」

「了解!!」

 EITOエンジェルズ達は、避難誘導を開始した。邪魔するマスコミは、バトルスティックで押してけん制した。

 ある記者が食ってかかった。

「我々には、真実・・・。」

「お名前と所属をどうぞ。今、録音してますから。」と、小町が言うと、自称記者は引き下がった。

 正午。

 鎮火はしたが、ほぼ全焼だった。

 大前と用賀は、消防と佐々ヤンの許可を得て、殺害現場の歯科クリニックに入った。

「コマンダー。ナイフガンじゃないようだけど、刃物で『皆殺し』ですね。日本刀かも。」

「後で、松本さんに見て貰うか。写真、撮っておいてくれ。」

「佐々ヤン、余程の怨恨があったんやろうか?火事は、逃走確保の為やな。」

「ああ、避難している人間に混じれば、悠々と逃げられる。名前住所確認する余裕がないからな、こちらには。」

「また、雑居ビル。非常階段には荷物一杯。各所回っても、その時だけ移動するから安全確保出来てるかどうかは誰も判らない。非常階段の方に逃げようとした者がいなかったのは、不幸中の幸い、ですね。」と、消防局員が言った。

「地上げ屋は絡んではいないのかな?」と、いつの間にかやって来た、一美が言った。

「昔、阪和線沿線のアパート、高架化の為の「地上げ」で、猫に火を点けて放り込んだ輩がおったさかいな。」と、いつの間にかやって来た、花ヤンが言った。

「詰まり、歯科クリニックに怨みやなくて、立ち退き拒否したとか、か。」

 大前が、考え込んでいると、二美から大前のスマホに連絡が入った。

「そうか。それやったら、見舞いに行かれへんな。こっちは全焼の中に皆殺し死体。怨恨かテロか判別しにくい。一段落したから、皆に引き揚げさせる。そっちは、へばりついといてくれ。」

 大前は、皆に指示し、大阪支部の、三美総帥に連絡した。

「本部に問い合わせてみたけど、今の所、犯行声明なし。ダーク・レインボーとの繋がりも判らない。コマンダーが帰還次第、私も引き揚げるわ。」

「了解!!」

 午後5時。EITO大阪支部。

 ヘレンが、マルチディスプレイに大阪府警と池上病院を映しだした。

「総子チーフの、解毒剤は成功したわ。熱は下がった。宮田先生も喜んでおられる。俯瞰株3が流行っても対処出来得るそうよ。」

「府警の警察官も、加計先生の薬で回復に向かっている。保健所の指示で、あのNPO法人は立ち入り禁止にしてある。新開先生も、かかるかかからないかは、どんな病気も体質によって違う、と言っておられた。マスコミは十把一絡げに扱うけどね。あのNPO法人名義の反社は、『那珂国から預かりもの』をした、と言っている。庇う積もりは毛頭ないが、やつらも利用されたんんだろう。皆殺し事件は、これからだ。歯科の協会から患者のデータが入手出来たから、怨恨の場合は、被疑者を特定出来るが、その前に、那珂国の医師が。あの物件を狙っていた、というタレコミがあった。」と、小柳警視正は言った。

「じゃあ、地上げですか?」「そういう体裁にしたいのだろうな。タレコミ電話を科捜研で調べたら、那珂国訛りがあった。まだ、端緒(たんしょ)だよ、コマンダー。チーフ、良かったな。快気祝いには呼んでくれ。」と、小柳は笑った。

 画面から、両者は消えた。

 隊員達は、皆一様に、大前に一礼をして帰った。

「さあ、帰っていちゃつこうかしら?」と、ヘレンが言い、「ヘレンちゃん、テレパシー出来るの?」と紀子が言った。

 大前が卒倒した。

 紀子とヘレンは、顔を見合わせ、笑った。

 ―完―



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