第14話 君の日常、僕のレンズ越しに

翔が仁の家に住み込みで撮影を始めて数日が経った。香織からの依頼で、ファンの要望に応えるべきいくつかのシーン――寝起きの姿、うたた寝の様子、風呂上がりのリラックスした表情などを撮影することになった翔は、仁の何気ない一面をカメラに収めるため、日々の何気ない瞬間を狙っていた。


ある朝、翔は寝起きの仁を撮影するため、静かに彼の部屋に足を踏み入れた。朝日が差し込み、カーテン越しに柔らかな光が仁の寝顔を包んでいる。ファインダー越しに見る仁の寝顔は無防備で、日常では見られない一面を垣間見ているようで、翔はその瞬間に引き込まれていく。


シャッター音で仁がうっすらと目を開け、寝ぼけた声で「…翔、朝から撮るなよ」と文句を言う。その様子がまた魅力的で、翔は思わず微笑みながらシャッターを切り続けた。


昼には、仁がキッチンで料理をする姿を撮影した。フライパンを振り、野菜を切る姿は、モデルとしてのクールな一面とは違い、どこか家庭的な雰囲気が漂っていた。


「こういうのも撮るんだな」

仁が少し照れくさそうに言うと、翔はカメラ越しに「ファンが見たがってるみたいだから」と言って笑った。仁もつられて、少し肩をすくめて微笑む。


またある時、翔はソファでうたた寝をしている仁の姿もカメラに収めた。静かに眠る仁の横顔には柔らかな表情が浮かんでいて、まるで素の彼がそっと現れているかのようだった。翔は、その瞬間を逃すまいとシャッターを切った。


さらに、仁がシャワーを浴びた後、髪をタオルで拭きながらリラックスしている様子も撮影した。髪先から水滴が落ちる様子や、ふとした瞬間に見せる表情にはどこか大人っぽさが漂っていて、翔は無意識にドキドキしていた。


撮影を終え、リビングで一息ついていると、仁がふと思いついたように提案した。


「そうだ、明日は街で一日遊びながら写真を撮るのはどうだ?」


不意の誘いに、翔は少し驚きつつも嬉しそうに頷いた。「いいね。外での自然な感じも撮れそうだし、楽しそうだ」


二人は翌日の撮影計画に思いを馳せながら、微笑み合った。次の日、街でどんな写真が撮れるのか――翔は心の奥で静かな期待が膨らんでいくのを感じていた。

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