第7話 恋のライバル登場
夏休みが終わり、学校が再開した初日。翔は久しぶりの友人たちとの再会に、少しだけ心が浮き立っていた。そんな彼の前に、思いがけない人物が現れる。幼なじみの陽介(ようすけ)だ。背が高く、日に焼けた肌、明るく爽やかな笑顔――サッカー部である陽介は、まるで太陽のような存在感を放っていた。
「翔!久しぶり!元気にしてたか?」
陽介が満面の笑みで駆け寄り、翔の肩をポンと叩いた。
「陽介!どうしてここに?」
翔は驚きながらも、その懐かしい笑顔に思わず微笑んだ。
「転校することになったんだよ。これからまた一緒だな!」
そう言って楽しそうに笑う陽介の姿を見て、翔も自然と笑顔がこぼれた。
数日後、3人が入っている委員会での活動が始まる。陽介も同じ委員会に入ることになり、翔は彼と共に過ごす時間が増えた。その様子を、少し離れた場所から仁が無言で見つめていた。
委員会活動中、翔と陽介が仲良く笑い合っているのを見て、仁の表情がどこか曇っていく。陽介は何かと翔のそばに寄り添い、自然と親しげな態度で接するため、二人の仲の良さが周囲にもよく伝わっていた。
翔は幼なじみとの再会を楽しみながらも、ふとした瞬間、自然と視線を仁に向けてしまう。仁が黙っていることに気づくと、どこか不安な気持ちが胸に湧くのだ。
「翔、この後ちょっと付き合ってくれないか?新しい教科書のこと、相談したくてさ。」
陽介が軽い調子で声をかけると、翔はすぐに快く頷いた。
そんなやり取りに、仁は静かに視線を逸らし、黙って手元の資料に目を落とす。だが、その目にはほんの少し寂しさが浮かんでいた。
委員会活動が終わると、仁は意を決して、少し強引に翔を引き止めた。
「翔、ちょっと待てよ。せっかくだから、俺とも一緒に帰らないか?」
翔は少し戸惑いながらも、「あ、うん。もちろん。」と答えたが、陽介が間髪入れずに割って入ってきた。
「お、俺も帰り道一緒だから、翔と一緒に行っていいか?」
こうして、翔を挟んで仁と陽介が並ぶ形で帰路につくことになった。陽介と話しながらも、翔の視線は無意識のうちに仁の方へと向いていた。
(どうして、仁が静かにしてると気になってしまうんだろう…)
翔は自分の胸に湧く小さな感情に気づかぬまま、ただ彼のそばにいる安心感を感じていた。
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