消えた夢

天川裕司

消えた夢

タイトル:消えた夢


私の彼は背が高くなったんだ。

そう思うことにしよう。


公園に居て話している時でも、

彼は私を見下ろしながら話してくれる。

元から背の高い人はそんなに好きじゃなかったけど、

彼がそうなったから、段々好きになり始めていた。


背が高いと、同じ目線で話せないし、

振り向いた時にそこに彼が居ないような気がして

なんか嫌だったから。


でもそんな事は無かったんだと、今の彼を見て思う。

彼はずっとそばに居てくれたんだ。


海へ行った。アイスクリームを買ってきてくれた。

そこでいっぱい話もしたね。

寄せて返す波がきれいだった。なんだか妙に落ち着く。

これで私は山より海が好きになったんだ。


次にデパートへ行った。

子供の時の、幼少の記憶が蘇りながら、

彼はやっぱり私を見下ろしながら話してくれる。

彼1人がエスカレーターにでも乗ってるのかな?

なんて思ったけどそんな事なかったw


そこで一緒に飲んだクリームソーダ。

私は昔からクリームソーダが大好きで、

そこであの彼と一緒に飲んでさらに好きになった。


それからドライブへ。

その日は私が運転してあげた。

そこでも将来のこととか夢の話とか、

いろんなことをしゃべったね。

そこでもやっぱり彼は背が高いから、

私を見下ろしながら話してくれる。


それから公園を通り、また海へ行きデパートへ行って、

ちょっとだけ遊園地にも行って、

今度は私1人で決められた場所へ来たんだ。

そこでも彼は私の頭の上から話してくれる。


両手を合わせて祈る。

どこかで彼の声がする。

雨が降って止んで風が吹いた。


空を見てつぶやく「今、寂しくない?」

夢が消えた。

夢が消えたと言う事は彼が消えたと言うこと。


誰かがこの地上を去った後、化けて出るなんて大嘘。

「化けて出てよね…」

心の中で歌を歌った。彼が聴いてくれる気がした。


目の前に刻まれた名前の文字は私に関係ない。

思い出の声が彼の声。風の音が彼の声。

私の涙が彼の言葉に変わった瞬間だった。


だから彼はちょっと背が高くなって、

私にいつも話しかけてくれる。

このことに気づいたのって、遅くはないよね。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=cf_5fXsxo10

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消えた夢 天川裕司 @tenkawayuji

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