第1章9話「戦いが始まる」
家に襲撃して数分。
相手はまだ出てこないのか。敵はまだ何も動かないのか。
警戒しながら1歩前に進む。
脅威となる人がこの家にいると上からの指示に言われ部隊をつれて一軒家に来た。
実際相手は壁を作る。
魔法を使っているのだ 。
異世界人は敵だ。早く倒さなければならない。
一見普通の家にみえるし、住所を特定するとただの人のように思えた。
だが世界の平和を守るためだ。
相手を殺さなければ行けない。
もう一歩進むと突然家から煙幕が見えた。
それは一気に庭を煙で包んだ。
「な」
仲間と一斉にアサルトライフルを打とうとするが突然マガジンが爆発してしまう。
驚きで体が一瞬止まる。
それは銃を破壊されたからだけではない。
煙幕が全てを隠す前に男が見えたのは6人の若者だった。
そこにいたのは普通の、一般人と同じ服装をした子どもたちだったのだ。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
戦いが始まる。
ペルシダは気持ちを入れ替える。
あの金属の塊に頭を抜かれたら死ぬ。
足にあたってもそうとうな重傷を負うことになるだろう。
相手の銃の威力は想像できない。
一発なら大丈夫かもしれない。
だがあの金属の塊を何発も耐えることは出来ないだろう。
何にせよ今この状況で試せるわけがない以上、死ぬと考えた方がいい。
―――幸先はいい。
一瞬だが、誰も撃たなかったのが救いだ。
上空に跳ぶ。既に場所の特定はすんでいる。
まず着地点にいる男の肩に乗る。
触れた瞬間何か解除した音を聞いた。
「1人!!」
そう大きく叫びながらまた上空に跳んだ。
更に2人、3人、4人、5人と次々と無力化していく。
相手が制圧するの為に無造作に撃ってきた。
ペルシダは一歩を強く踏み込み、地面を滑って壁際に移動。
大きく踏み込み、壁を蹴って再び上昇する。
相手は煙で遮られたのもあり、一歩の踏み込みで相手を振り切れた。
「2人!! 3人!! 4人!! 5人!!」
6人目と思ったその時、足に土の感触がした。
逃げられたのだ。しかし煙の中土に足跡が見えた。
更に足跡を見つけ、手を使い、足の回転を待たずに素早く足跡を追う。
男性を見つけた。男性は片手タイプの銃を持つが回し蹴りでそれを弾き飛ばし、男性に触れた。
「6人!!」
そこにナイフを持ってきた女性が刺しに来た。
見える。
お互い姿を確認した。
ペルシダは半身になって、ナイフの来る軌道上から体をかわす。
そして来る手を掴んで伸ばした。
相手は軍人。
鍛えられた体と反射神経がある。
万が一触れる前に相手がナイフを逆手に持ち替えてくる場合もあったからだ。
だが相手は想定よりも早く気絶してしまった。
顎に掌底打ちする手を止める。
ペルシダは再び宙に跳ぶ。
でもそこで終わり。最初に聞かされた所に相手はいない。
「………7人目!!」
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
瞬く間に部下が7人もやられた。
足元には仲間の身体が転がっている。
何か手を撃たなければいけない。
瞬く間に仲間がやられた。なんて身体能力だ。
もし彼女の言葉が正しければもうこちら側には自分の他に3人しかいないということになる。
息を潜め、機会をうかがう。
この煙さえ晴れたら、勝てるはずだ。
相手にばれずに距離を取れたら、例えどんなに速くても弾を当てることが出来る。
身を潜め、距離を取ろうとしたその時だ。
銃声だ。
あの声をしたものがわからない。
それに足音が聞こえる。
複数人足音が銃声に混ざって草を踏む音が聞こえるのだ。
何人か外に出たのか。だがどこにいるのか分からない。
あの5人が何かアクションを起こしたのか。
また別の方向から銃声が聞こえた。
信じられない。
あの音はアサルトライフルの音だ。
拾って撃っているのか。
また銃声だ。壁に当たる音がする。あの女の子が撃ったのか。壁側に撃つということは後ろにいるのか。
アサルトライフルなど撃ったことがなさそうな子供たちが撃っているというのか。
だとしたら女の子の居場所はどうやって把握している。
子供がなりふり構わず連射するなどありえるのだろうか。
また撃った。
今度は連続してだ。フルオートで5発以上撃ち続けた。
子供がもしやられた仲間事、制圧射撃をしていたら。
とにかくその方向にばらまいてけん制するしかなかった。
この煙幕の中弾幕を張らなければ死ぬかもしれない。
拾ったアサルトライフルを撃ち続ける。
男はその音にかすかな違和感を見つけた。
壁に当たる前、かすかに木が割れる音がした。
それだけではない。英語を話す声。
更には音楽が聞こえる。
今までの考えが否定される。
理解した。理解して憤りを感じた。
戦場でこのような子供だましをするなど。
作戦を変えないといけない。
男は考える。だからこそ体が少しおろそかになった。
「見つけた」
さっきの女の子がした。女の子は男の目の前に現れた。
男は銃を構えて、引き金を撃とうとするがそれより女の子が男に触れるほうが発砲して
男は意識を失い地面に倒れた。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「終わったわよ」
そう車花の声が聞こえた。他二方面も無力化できたらしい。
流河はほっと息をついた。
かかとを下ろして腰を地面につけて、アサルトライフルの引き金から手を外す。
家に現れた地球連邦軍をなんとか全て撃退することが出来た
車花とペルシダのおかげだ。
大和達も頑張ってくれた。
「うまくいったな」
「だから、言ったろ?上手くいくって」
「いってねぇよ」
流河のつぶやきに、大和が茶化した。
煙が晴れ、庭には自分と大和とペルシダ。
そして倒れている人が10人いる。
二人は地面に落ちている携帯電話をそれぞれ拾い、紫花菜とあすはに渡した。
その携帯電話からは銃声やかべに弾が当たる音、射撃をしている映像が流れている。
流河達はペルシダの数える時の語尾が変わる瞬間にそれぞれ飛び出した。
語尾が変わったときは敵の位置がわからなくなった合図にする。
その時が来たら流河達はあらかじめ決めたところに走る。
ペルシダは家の二階に張り付いて、銃声と光から位置を探す。
相手が潜伏するタイミングで流河達が動きアサルトライフルを地面、壁側に撃って離脱する。
その後あすはと紫花菜は車花の作った壁のうしろから携帯電話を投げる。
相手が制圧射撃を恐れて発砲すればペルシダが止めを刺す。
万が一発砲しなかったらと思うとぞっとする。
間違えなく流河は撃ち殺されていただろう。
死者が出なくて、死ななくて本当に良かった。
初めての戦いにしては割と役割を果たせたのではないだろうか。
「まあ、なにはともあれ一件落ちゃ………!?」
その音は「ババババ」なのか「バラバラバラ」なのか。
上空にヘリがいた。ただのヘリだったらいい。
だがそのヘリは機銃やミサイルがついていた。
戦闘用ヘリだ。
ここまで近づいてくるのは初めてだ。
風が強くなる。動揺が頭が回らなくさせる。
戦闘用ヘリがこちらを向いてきた。
そして目の前で止まったのだ。
「まさか俺たちを狙ってんのか!!?」
そこから照らす光と風に思わず腕で目を隠す。
そのヘリにはミサイルのようなものとガトリングがある。
洗脳魔法の恐ろしさが思い知らされた。
こんなものまで出すなんて普通じゃありえない。
大翔があんなに気にしている理由がよく分かった。
世界を支配しているということは軍を全て動かせるということだ。
それを誰も咎めない。
戦闘用ヘリや使って民間人に攻撃しても何も言われない。
核ミサイルも毒兵器も使われる可能性もあるのだ。
世界を自分の思い通りに変えられる魔法。なんて恐ろしい魔法なのだ。
しかし魔法の恐ろしさに怯えている暇はない。
今まさに機銃がこちらに狙いを定めて火を吹こうとしている。
あんなもの一発でも当たれば即、死だ。体が抉られ原型もなくなる。
ペルシダが実弾を防げるかどうかは定かではない。
でも車花は銃を防ぐことが出来る壁を出すことが出来る。
「車花!!」
「分かってるわよ!!」
車花はヘリに向かって手を向ける。
その手から一筋の光のようなものが見えた。
その瞬間機銃が熱によって使い物にならなくなった。
更に車花は風魔法なのかかまいたちのようなものを出し、ヘリとミサイルのジョギング部分を狙う。
これが魔法使いなのかと。
攻撃しろと言ってないが迫力で褒めること出来ず、何も言うことが出来なかった。
しかしそれは何らかの壁により、防がれた。
「魔力防壁!?」
ヘリから青い光が放たれている。
それがミサイル部分を包みかまいたちから守ったのだ。
車花がそう叫んだ。
つまりあのヘリには魔法使いがのっているのか。
そんな疑問はすぐに打ち消さられた。
ミサイルに火が付いた。あんなものを撃たれたら体だけでなく家まで…
「だったら!!」
ミサイルが10発以上ヘリから離れてこちらにめがけて飛ぶ。
だが車花は立ち向かった。
車花が両手をヘリにむけている。
「車花!!!!」
そう流河は車花に乞うように叫んでしまった。
こんなところで死にたくないと。
それに応えてくれるの如く黒い円が現れた。
黒い円はミサイルと流河たちの間に入り、ミサイルとぶつかり爆発したと思った。
爆発の光で目が見えない。
思わず目をつぶった。目を開けるとそこにはヘリがいなかった。
ヘリは魔力障壁に火がついて機体が家から離れる。
視界からヘリの姿が消えた。
そこにあったのは目の前にある黒い円と、さっきヘリがいた場所ににもう一つ黒い円がある。
その両方に爆発の煙がまきあがっていた。煙は上にでているものとヘリがいた方向に出ているものが有った。
「空間魔法なのか?」
見ている現象からそうとしか考えられない。
門を繋ぎ真っ直ぐ移動するミサイルを方向と進む道筋を変えて相手に衝撃を与えたのだ。
魔力障壁を使っているからか、ヘリは壊れることなく、衝撃で飛ばされていく。
「す、すげぇ……」
「ペルシダ。あっちで気絶させた人達の解除をお願い」
車花は何事もなかったように、冷静に指示をした。
戦闘ヘリなど壊すことなく撃退させた。
車花の凄さに舌を巻いたのか、ペルシダは一瞬反応が遅れた後すぐに指示通りに向かった。
「すげぇ………!!」
これが魔法。
改めてそう実感した。
実物を見ると迫力が違う。思わず興奮して車花のほうに向かった。
テンションが上がる。こんなものをまじかで見れることに感謝を伝えたいくらいだ。
「車花、お前めちゃくちゃす………」
「まだ!!」
車花が声を荒上げ、その声に体がびくっとして止まった。
その声は今まで共にいて聞いたことのない緊迫した。声だった。
「早く、車をどこか聞いて!! まだ敵がいる!!」
「わ、わかった」
アスハは気絶した人を起こして説明を始めている。
紫花菜は気絶した人から車の居場所を探していた。
気絶した人を起こして聞いたとしてもおそらく覚えていないはずだ。
洗脳の命令を受けている間は記憶障害が起きていることは紫花菜とアスハで分かっている。
流河は玄関のほうに行った。
玄関以外は壁と家で囲まれている。
なら入ってくるのは玄関からだろうと。
「あなたたちは気絶した人を、銃は捨てて………流河!!待って!!そっちは………」
車花の忠告が聞こえたがそれより先に早く玄関についてしまった。
そこから玄関の右側を行った。
車があるのか
そして大翔は来ていないのか確認するため。
そこに待ち受けた光景は…………
「おい、流河。帰って来いって車花が………」
大和の声にも反応出来なかった。
出来るはずがなかった。
「おい、どうしたんだ!!」
大和がこっちに近づてきた。
無理だ、どこに逃げればいいのだ。
「おい、一体何があるんだよ!」
外を見て大和は自分と同じのように止まった。
車花なら耐えられたかもしれないが、二人には無理だった。
戦いを知らない二人には。
「嘘だろ……!」
「何で街を攻撃してんだよ!!」
その写った光景は非現実的すぎた。
あのヘリが20体以上もいる。
街は黒い煙が10以上は上がっている。
あの人たちが作戦を失敗したからといっては早すぎる。
更には異世界から来たのであろうか現代にはないような服を来た人間が空を飛んでいる。
その手から魔法が撃たれた。雷や火、光が街を襲う。
リアリティと非現実的な光景がそこにあった。
「悪魔だ」
そして、その真ん中に悪魔がいた。
黒い髪に黒い目。見た目からして悪魔だと認識出来るオーラと容貌
圧倒的な圧だ。
魔法使いよりも高く空に飛んでいる。
あまりのプレッシャーに流河と大和は呼吸すら忘れる。額や頬に汗が走る。
無理だ。どうやって逃げるのだ。生き残るなど出来るはずがない。
あんなものに。あんなのにどうやって太刀打ちできるのだ。
体は震え、足が動かなかった。
その圧は身体も声も動かなくさせてしまう。
悪魔がこちらに向いた。
視認されたのだと知覚した。
手から巨大な黒の炎の矢を作る。
それをこちらに向けて放った。
黒い炎の矢はまっすぐ流河にめがけて飛んできた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます