『ブキミッシュ』 2の4


 ブキ・ミッシュは、瞬時に『迎賓センター』に飛んだのである。


 一般人は入れない領域だが、また、ブキ・ミッシュを妨げるものもない。


 ビョータンは、宿泊室に突如として現れたブキ・ミッシュに驚愕した。


 『そなたは、なにもの? いや、いや、わかった。ブキ・ミッシュさんであろうな。』


 『はい。偉大なるビョータン。あなたにお話がありました。だから、やってきたのです。』


 『なにものも、妨げなかったか。』


 『はい。まったく、なにも。』


 『なるほど。で、なにかな?』


 『地球を、平和にたもちたいのです。議論はたくさんあってしかるべきですが、戦争は避けたい。殺しあいなど論外です。しかし、古今の偉人でさえ、多くは殺しあいを避けられなかったし、推奨したりもした。あなたは、違うと思うのです。』

 

 『ほう? なぜかな?』


 『あなたが、真の偉人だからです。それは、あなたが、すでにここにいることが示しています。あなた以外のだれが、ここに来られたでしょうか。あなたは、すでに、ダレ・モン・ソーダ星人の動きを止めたのです。』


 『ふむ。しかし、かいかぶりではないかな? ダレ・モン・ソーダ星人は、わたしに、大量の財宝や、食糧を与えるだろう。わたしが、もらわないと言えるかな?』


 『言えます。なぜならば、あなたには、必要がないからです。地球の財宝も、地球の食糧も、あなたには役に立たないから。』


 『ほう。なぜわかる?』


 『ぼくの分析によれば、あなたの食糧は、ブラックマターです。または、ダークマター。財宝に興味はない。あなたはそうしたものは、持ち歩いていませんから。』


 『なるほど。よく調べたな。しかし、若者よ、きみが自ら実行すべきではないかな?』


 『ぼくには、名声がありません。どちらかというと、ひたすら不気味がられています。誰も、味方にはならないでしょう。ドクター・アラカワ以外は。あなたは、違います。あなたの一言が、みなを、動かすのです。』


 『なんと、言えと言うのか?』


 『地球から、立ち去れ。と。』


 『ほう。それで、ほかの惑星に行き、勝手におなじことをせよ、とな?』


 ブキ・ミッシュは、やや、詰まってしまった。


      😤










 

 

 

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