未明の詩

しゔや りふかふ

蒼き時


                         

                                夜明け不(な)らぬ 

      寅(とら)一つ刻(とき)※  

 透きとおる Blue Black

     狭霧(さぎり)幽玄(さすら)ふ


               白黎(はくれい)の氣を孕(はら)みつも

       不如帰(ほととぎす)さへ

          熟睡(うまゐ)のさなか


               あを(蒼)き とき こころ やすらぐ


       儚(はかな)く脆(もろ)き 軈(やが)て喪せなむ 


  夭(をさな)きいのち(命)の

蜉蝣(かげろふ)   淡墨(あわすみ)

     柔(やは)らに  

       滲(にじ)み染入り逝くすゑに

         幽(かそけ)く清(す)みて 

    透(す)き明(あけ)く

喪(き)ゆる若(ごとし) 

 

                         無に添ふ 瞬(せつな)


 

      黄昏(たそがれ)に 觀ぜられる若(ごと)き狂躁の 限りなき旋律の 空操に焦燥し 滾る滅亡の 美とは叛さまにあり 



やがて そのきよらにも厭(あ)くる  気まぐれに優しきJazzをかける


        満ち足りて もの哀しく繊細(ささやか)な 明るく澄みたる音色は午後の静かなカフェにて聴くにあらばふさはしくも 

  敢へてこの瞬(せつな)に聴く



蒼(あを)きも 曲(うた)も ともに静なるも、寂莫と静謐とに互(たが)ふ

          Ἁρμονία(ハルモニア)を做(な)し 味はひ いと深し


 

                      考(かむがへ)は空(むなし)

    内在(こころ)に素のままに直截(ますぐ)なるものが

                 生(ヴィー)を鮮やかとし

           眞(しん)ならしめ 眩(まばゆ)さのリアル

                いのちに盈(み)ち盈ちあふれ燦めきVivid

 

      人は いや 全て生はこれを求めてやまぬ いでんしはそのあらはれ

おもふに 存在全てが存続せんと欲するも、眞を求むがゆゑ


              生存は生存(それ)を最優せよと死を以て恫喝するも 

           人は眞歓(まよろこ)びを求む

            躬(みずか)らを牽(ひ)き裂き翔ぶが生命の大義の全て 

      存在の大義(たいぎ)の全て 龍のごとく肯(がえむ)ぜよ



天に齊(ひと)しき聖(ひじり)の賢者はいふ 生存は非なり 生命にあらず 


                  

      

 ※寅一つ……AM3:00からAM3:30

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未明の詩 しゔや りふかふ @sylv

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