醜悪

@Kayaamata

第1話

私は人間が嫌いだ。どこまでも自己中心的で、他責思考だから。私は現実が嫌いだ。思い描いた理想が叶うことはないから。私は社会が嫌いだ。人間が作った、利己的なシステムだから。私は夢が嫌いだ。いつかは覚めてしまう。それならば見たくないと思うから。私は愛が嫌いだ。そこには裏切りしかないから。私は人生が嫌いだ。どれだけ楽しくても、辛さが消えることはなかったから。


朝焼け、夕焼け、晴天、曇天、雨、雪、桜、紅葉、月、太陽、星、神社、寺、海、宇宙、エトセトラ。あまりに美しい光景。見たくなかった現実。夢は消え、醜い自分だけが残って尚、世界はこんなにも美しい。疎外感を感じつつも、ただ苦しみながらも生き続けるしかできない私に絶望しながらまた目を閉じる。いっそこのまま覚めることがなかったら、或いは覚めてもいいのかもしれない。ぐるぐると頭を廻るのは逃げるための大義名分で、ただ自分がどうしようもない人間だと気付くのが、ほんの少しでも楽しさを味わえている今を失くしてしまうのが、たまらなく怖いのだ。私はこの醜くも美しい世界に居てもいいのだろうか。そんな思索にふけりながら、今日もまた目を閉じた。

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