賢者、現代のクエストに参加する
ゼクスはスマホの機能に夢中になっていたが、ふと時間が経っていることに気づく。周囲の人々は日常の忙しさの中で動き回っており、彼もそろそろ次のステップに進むべきだと感じた。
「まずは、この世界の仲間を増やす必要がある。何かしらのクエストを探してみよう。」
彼は自信満々にスマホを取り出し、「クエスト」と検索バーに打ち込んだ。すると、表示されたのは様々なオンラインゲームの掲示板やアプリだった。
「えっと、これがクエスト…?なんか違う気がするけど…」
スクロールしていくと、「冒険者募集」「ダンジョン攻略」「ボス討伐」など、すべてゲーム関連のタイトルが並んでいる。彼は戸惑いながらも興味を引かれ、ゲームのダンジョン攻略のクエストに目を止めた。
「これだ!このクエストなら、仲間とともに強力な敵を討伐し、経験を積むことができるに違いない。」
そう考えたゼクスは、すぐにそのゲームのサーバーに参加することにした。彼はキャラクターを作成し、チャットで仲間を探し始める。
「みなさん、私はゼクスと言います。ダンジョン攻略に参加させていただきたいです!」
チャット欄に自己紹介を打ち込むと、しばらくして反応が返ってきた。
「ゼクスか。よろしく!俺はレオ。タンク役だ。」
「私はエリナ。弓使いなの。新しい仲間が増えて嬉しいわ。」
「どうも、僕はカイル。魔法使いだけど、みんなで頑張ろう!」
仲間たちの自己紹介を聞いたゼクスは、「これは素晴らしい!いよいよ冒険が始まる!」とワクワクしていた。
しかし、何かが引っかかる。彼は本当に魔物と戦うことができるのか?彼の心には、少しの不安が残っていた。何しろ、彼が期待していた現実の冒険は、すべてゲームの中でしか味わえないのだ。
「さあ、いよいよ出発だ!目標は『忘れ去られたダンジョン』だ。みんな、力を合わせて攻略しよう!」
すると、カイルが口を開く。
「おい、ゼクス。お前、攻略の仕方知ってるのか?」
「もちろん!魔法使いとしての力を発揮する時が来たから!」
ゼクスは自信満々に答えたが、レオが続けて言った。
「いや、待て。お前、魔法使いじゃなくて、ただのプレイヤーだろ?」
「それでも、やる気だけはあるんだ!」
ゼクスは心の中で、現実の冒険を求めていたはずなのに、すでにゲームのクエストに参加していることに気づいていなかった。彼の思い描いていた冒険はどこか遠く、現実にはゲームの中のクエストしか存在しないという皮肉な状況に、思わず笑ってしまった。
「まあ、ゲームでも冒険でもいいさ。みんなで楽しもうぜ!」
レオの言葉に、ゼクスは大きく頷いた。彼は現実とゲームの狭間で、まだ見ぬ仲間たちとの冒険を楽しむことに決めたのだ。
「新しい仲間たちとともに、素晴らしい経験を積んでみせる!」
こうして、ゼクスと新しい仲間たちのオンライン冒険が、いよいよ幕を開けたのだった。
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