賢者、スマホを体験する
スマホを手に入れたゼクスは、街中のベンチに腰掛けて、さっそく使い方を試してみることにした。これまで魔法具を扱ってきた彼だが、この現代の「スマホ」という道具には、まだ未知の魅力と可能性を感じている。
ゼクスは画面を眺めながら、少し戸惑いながらも、店員に教えてもらった通りに指でスライドさせてみた。画面がパッと明るくなり、操作メニューが現れる。その瞬間、彼の心に感嘆の声が湧き上がった。
「なんという精密な魔導具だ……。これは、我がいた世界の魔法具を超えているかもしれん!」
画面にはカラフルなアイコンが並んでおり、それぞれが一つの魔法陣のように見える。ゼクスは興味を惹かれるままに指で触れていく。すると、画面が次々に変わり、彼が想像もしなかった情報の数々が現れる。
「これは一体……? この小さな板の中に、こんなにも多くの知識が収められているとは。魔法でさえこんな情報の集積は難しいぞ……」
ゼクスが驚きの目で画面を見つめていると、ふと「インターネット」なるアイコンが目に入る。先ほど店員から「ここで知りたい情報を調べることができる」と教えられていた機能だ。彼はそのアイコンを押し、検索バーに初めての文字を打ち込んでみた。
「転生者の、現代生活の心得……」
検索ボタンを押すと、画面には数多くの検索結果が表示され、ゼクスはその情報量の多さに目を見張る。
「この世界の人々は、なんと豊富な知識を持っているのだ……!すべてが手に取るように得られるとは。もはやこの世界そのものが、魔法の結晶といっても過言ではないな」
そしてふと、周りの視線に気づいた。彼がスマホに話しかけている姿が、通行人たちには奇妙に映っていたようだ。少し赤面しながらも、ゼクスは気を取り直し、周囲の目を気にせず操作を続ける。
次に、彼は「カメラ」という機能を試してみた。自分の顔が画面に映ることに驚きながらも、さっそくボタンを押してみる。シャッター音が響き、彼の顔が写真として記録された。
「これは……自分の姿を保存できるのか!まさに魔術を超越した技だな!」
現代の技術に圧倒されながらも、ゼクスは次々に機能を試し、その度に新しい発見に心躍らせていった。この「スマホ」という小さな装置が、彼の新しい生活を支える大きな武器になることを、ゼクスは強く感じ始めていた。
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