第22話 噂

「兄弟、説明してくれるよな」(𖥕ᾥ𖥕)


 侑がそうやって俺に詰めてくる。………けど、その瞳は俺に対して真剣に怒ってるだけだよな?嫉妬とかじゃないよな?


 けど、本当にこの写真に心当たりがない。ハッ!?


「もしかして、そっくりさんか!?」


「………いや、お前だぞ兄弟?ほら制服」


「なるほど………どうしよ侑!俺はいつの間にか童貞を卒業してるらしい!こういう時、男として責任とか取るの?」


「あー、はいはい。安心しろ兄弟は一生童貞だ」


「誰が一生童貞だボケェ!!」


 俺が怒りに身を任せようとした時、侑がスマホを顔面まで近づけた事により防がれる。


「昨日、クラスL◯NEにこの写真が一軍グループ相川によって送られた。これ以外にも兄弟に対する悪い写真や動画まである」


「………俺クラスLINEに入ってない」


「………確認しろ」


 俺は侑のスマホを取りクラスL◯NEの内容を確認する。


 ふむふむ、女関係が悪い以外にも喧嘩やタバコとかの写真もあるな。なんか見た事あるような写真だけど、思い出せん。


 で、この話の中心だけど。どうやら俺が鏡花を散々遊んで捨てた事になってるらしい。DVやらセクハラや言いたい放題だな。


 ――ヒソヒソ、ヒソヒソ


 俺はこの噂が広がってる事を知り初めて周りを意識する。マジかよ結構、恨み買ってる。え、もしかして登校中ずっとそうだったの?気付けよ俺!!


「天城龍征!!!」


 突如、大きい声で俺の名前が呼ばれる。声の主を見てみると美人生徒会長、綾瀬雪さんじゃないですかー。


「よくも堂々と学校に顔を出す事ができましてね」


「えっ?なんかごめん」


「謝るのであれば、その醜い下半身の一部を切り落としてからにしなさい」


 ヤッベェよ。一生童貞確定しちゃうじゃん。ていうか何でそんな怒ってるの?


「まぁ、まぁ、生徒会長さん落ち着いて。どうやら、兄弟のあの噂はタチの悪い嘘らしいんだ」


 おお、ナイスアシスト侑!心の友だぜ!


「何を言ってるの?私は鏡花本人から聞いたのよ。まず貴方誰?急に話に入ってきて出しゃばりなのかしら?キモいわ」


「グッハ!?」


「侑!!!!ちくしょう!なんて事言うんだ!男の子はな、女子にキモいとか臭いとか言われたら軽く『死んじゃおっかな〜』って思うくらい繊細なんだぞ!」


 ――パン!!


 あらやだ、引っ叩かれたわ。なんつうクソ女だ、絶対にゆる………す。よくよく考えたらご褒美やんありがとうございます。


「謝る気が無いようなので失礼します。覚悟してください。私、ゴミを潰す時は徹底的にやるので」


 そう言って、綾瀬雪は立ち去って行った。確かあいつの家には、なんでも出来るの執事とかメイドがいたよな。………殺されね?


「どこか遠い所に逃げよかっな?」


 そう言えば雪ちゃん、鏡花本人から聞いたって言ってたよな。


 ――ズキン


 ………ああ、思い出した。この手口、ヒロインにやった手口と同じだ。最終的に鏡花がヤバイ奴だって分かるんだが、主人公が解決するまで結構えげつなかったよな。


 主人公の解決方法は確か、証拠を集めた断罪イベントみたいな奴だっけ?なんでそれで鏡花ヒロインなっとんねん。


「ま、俺は俺のやり方貫くだけだがな」


 俺は倒れた侑を放っておいて教室に入った。



 ◆昼休み 屋上



「やぁ、龍征元気そうで何より」


「うん!鏡花の顔見て元気出た!」


 マジで昨日フラれたことなんてどうでも良いくらい超元気!実は教室に入って机の中を見るとな!ラブレターが入ってたんだ!内容はこう


 昼休み いつもの場所 何も持たずに来て


 ふふ、この短いメッセージ、俺は鏡花だってすぐ分かったぜ。理由は筆跡といつも使ってる香水の匂い。


「アハハッ、見栄張らなくてもいいんだよ。へぇ〜、本当に何も持たずに来たんだ」


 鏡花はそうやって俺の全身を触る。おいおい照れるじゃねぇか。


「てっきり、盗聴器や録音機の類を持ってきてると思ったのにな〜」


 そう言えば鏡花、手になんか変な機械持ってるな。空港とかで見る奴、金属探知機?


「うんうん、ベルト以外は反応無し。本当に何も持って来てないね。約束守ってくれたお礼に今の現状説明してあげる」


「今の現状?」


 なるほど、俺が鏡花に振られた理由だな。復縁の機会はあるのだろうか?


 ※近いけど微妙に違う。


「実は龍征の悪い噂広めたの私なんだ〜。怒った?」


「うん怒った😠」


 全く、根も葉もない噂立てるのは本当に良くないんだぞ。俺だからまだ良いものの他の人だったらどうなってたことか、説教してやる!


「アハハハッ、素直だね。理不尽に感じた?理解出来なかった?義憤が湧き起こった?殴りたい?復讐したい?仕返ししたい?アハハハッ」


 なんか、ちょっと嬉しいな。これが鏡花の本当の笑い方だからかな?付き合ってた頃じゃ、この笑顔を引き出せなかったもんな。


 けど、ちゃんと怒らないとな。噂を立てるのはダメだぞと。とりあえず怒る前に事情を聞いておこう。


「どうしてこんな事をしたんだ?」


「アハハハッ、ごめんごめん。ちょっと興奮しちゃった。じゃあ話すね」


 そう言う彼女の表情は期待と愉悦が混じっていた。





 あとがき


 頑張るぞぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉアクリエステントサウルス。

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