遠征③



リクが剣を振るうと、最初のモンスターが素早く後退した。さすがに銀霧の森に住むモンスターたちだけあって、動きは鋭く、反応も素早い。しかし、リクは焦らなかった。これまでの経験と根性を駆使し、冷静に相手の動きを見極める。



「リク、背後にも気をつけて!」マリーが警戒の声を上げる。その言葉に反応するように、リクはすばやく身をひねり、後ろに回り込んできたモンスターの攻撃をかわした。



「ありがとう、マリー!」一言礼を言い、再び前のモンスターに意識を集中させる。リクは確信していた。ここで倒れるわけにはいかない。何度でもやり直せるからこそ、この一瞬一瞬を本気で生き抜かなければ、本当の意味で強くはなれないと。



やがて、リクは相手の隙をつかみ、鋭い一撃を見舞った。その剣先は確実にモンスターの急所を捉え、敵は地面に崩れ落ちた。



「やった…!リク、すごいよ!」マリーが駆け寄り、彼を称賛するように微笑んだ。その顔には信頼と尊敬の色が滲んでいる。



リクは少し息を整えながら、彼女の言葉に軽くうなずいた。「でも、これはまだ序の口だ。もっと奥に行けば、さらに強い相手がいるはずだよ。ここで満足しちゃいられない。」



二人はさらに森の奥へと進んでいく。次々と現れるモンスターとの戦いを通して、リクは自分の限界を押し広げていくのを感じていた。どんなに厳しい相手であっても、後悔はしない。やり直しのスキルに頼らず、自分の力で前に進んでいる実感が彼に自信を与えていた。



* * *



そんな中、ふと立ち止まるリクに、マリーが不思議そうな顔を向ける。「リク?どうしたの?」


「……この先、相当危険なエリアだ。マリー、無理だと思ったらすぐに逃げるんだ。」


「私、ここまで来たんだもの。リクの邪魔はしないわ。」彼女の瞳には強い意志が宿っていた。その姿を見て、リクは少しだけ安心し、そして誇らしげに彼女に笑みを向ける。


「よし、行こう。」



再び歩き出した二人の先には、さらに強大なモンスターたちが待ち構えているだろう。それでも、リクとマリーは迷わずその挑戦に立ち向かう決意を固めていた。やり直しに頼らず、自らの力で進むことを選んだ彼らの冒険は、まだまだ続くのだ。

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