遠征②



森に足を踏み入れた二人は、湿気を帯びた冷たい空気に身を引き締めた。銀色の霧が立ちこめ、まるで別世界に迷い込んだかのような幻想的な景色が広がっている。


「ねぇ、リク。本当にここでいいの?」マリーは再び問いかけた。彼女の声には少しばかりの緊張が滲んでいる。


「大丈夫だよ、マリー。俺たちの実力なら、きっとやり遂げられる。」リクは背筋を伸ばし、彼女に向かって自信を見せる。自分の言葉に、自らを奮い立たせるかのように力強く答えた。


リクは内心、ここで本当に成長できるかどうか、少しの不安を抱えていた。しかしそれでも、自分の足で進み、戦い抜いてレベルを上げていく覚悟が固まっていた。やり直しのスキルは確かに強力だが、それに頼ることで失った「本当の力」を、自分のものとして手に入れたい。それが今の彼の決意だった。



* * *



しばらく進むと、物音を立てずに森の奥からモンスターの気配が漂ってきた。リクはその気配を察知し、マリーに静かに手を上げて止まるように指示する。


「ここからが本番だ。マリー、心の準備はいいか?」

「ええ、リクがいれば大丈夫。」彼女の表情は緊張しつつも、どこか信頼に満ちていた。


その言葉にリクは小さく微笑み、剣を構える。彼の中で根性が湧き上がり、強敵との戦いへの気持ちが高まっていくのがわかった。やり直しに頼らず、今ここで、自分の力で生き抜くことが試されているのだ。


そして次の瞬間、森の奥から複数の影が姿を現した。モンスターたちは二人に気づき、鋭い視線で睨みつける。


「よし、マリー、気を抜かずに行こう!」リクは声を張り上げ、モンスターへ向かって一気に駆け出した。

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