授業の概要
広々とした訓練場に整然と並ぶ新入生たち。教官の力強い声が響き、周囲は次第に静まり返っていく。リク、マリー、ケインも緊張した面持ちでその場に立っていた。やがて、教官は生徒たちを見回しながら口を開いた。
「ここ、アルクウェル学園では君たちにただ『知識』を教えるだけではない。ここで身につけるべきは、実戦において生き延びるための力だ。全ての授業、訓練にはその意味がある。そして、授業は大きく二つに分かれている。まずは『座学』、次に『実技』だ」
教官の鋭い視線が一人ひとりに向けられる。声には一切の無駄がなく、その言葉が訓練生たちの心を貫いていく。
「座学では、魔法や武器の基礎知識、戦術やモンスターについて学ぶ。戦いに備えるための基本だ。そして実技では、君たちが実際に『技術』と『経験』を身につける訓練を行う。実戦に即した場面を再現し、君たちが冒険者としての技能を磨く場だ」
教官は一息つき、広場の中央にある木製の人形や、戦闘をシミュレーションするための小型モンスターが閉じ込められた檻を指さした。
「本日は基礎訓練として、まずは武器の扱いと、個々の力を試すための模擬戦を行う。この場で各自の適性や技量を確認し、今後の訓練計画を立てていく。今日の訓練が君たちの実力を見極める機会だ」
リクはその説明を聞きながら、周りの生徒たちを見渡す。やはり同年代の生徒が多く、みんな武器を手に構え、意気込んでいる様子だ。しかし、その中でリクは自分がレベル5であることに少しだけ安心感を覚えていた。少なくとも、戦いの経験がある自分なら、初日からある程度の成果を出せるはずだ――そんな自信が心の奥底に湧いてきていた。
一方で、マリーとケインもそれぞれの武器を手にしながら、真剣な表情を浮かべていた。彼らもまた、リクに続きたいという思いでこの場に立っている。マリーがリクに視線を送り、少し微笑む。
「リク、私たちも負けないからね。強くなるって決めたんだから!」
リクは彼女の言葉に頷き、心を決める。自分のスキル“やり直し”に頼るのではなく、ここで真剣に力を磨いていく。それが本当の意味での「強さ」に繋がると信じて。
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