入学試験④



リクたちは息を切らしながらも、ウルフの動きを封じるために周囲を囲み、攻撃のタイミングを見極めていた。ウルフの体力も限界に近く、動きが鈍ってきている。


「みんな、もう少しだ…ここで一気に決めるぞ!」リクが声をかけ、仲間たちも大きく頷いた。


ケインが先陣を切って飛び出し、ウルフの正面から斬りかかる。その攻撃がウルフを怯ませると、マリーがすかさず詠唱を始め、火の矢を放った。炎の矢がウルフの背後に命中し、さらにその隙をリクが逃さず踏み込む。


「これで終わりだ!」リクは渾身の力を込め、剣を振り下ろした。その一撃はウルフの急所を捉え、獣が最後の唸り声を上げて倒れ込む。


息を詰めて見守っていた一同が、ようやく安堵の息をついた。


「やった…倒した!」マリーが顔を輝かせながら叫び、ケインも歓喜の表情でリクの肩を叩く。



「リク、すごいぞ!あのウルフ相手に、よくやり遂げたな!」



自然と出た言葉には、心の底からの敬意と少しの羨望が混じっていた。ケインはこの瞬間、リクの戦い方にただ感嘆するばかりではなく、追いつきたいと強く願う気持ちが湧いてきていた。自分も、もっと力をつけなければと。



ウルフとの戦いを通じて、彼は自分の弱さも痛感していた。リクほどの勇敢さや、確実に攻める力をまだ持っていないと感じている。だからこそ、隣で戦うリクに対して少しの焦りが芽生えつつも、その焦りは一緒に強くなりたいという希望に変わっていった。




リクは肩で息をしながらも、満足そうに微笑んだ。これまでの戦いで培ってきた技術と仲間との連携が見事に成果をあげた瞬間だった。


「みんながいてくれたからだよ。ありがとう、助かった。」リクは感謝の気持ちを込めて仲間たちに微笑みかける。


疲労は残っているが、勝利の喜びがそれを上回り、彼らはこの試練を乗り越えた達成感に包まれていた。リクは内心で、この経験が今後の成長に大きくつながると確信していた。

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