マリーの決意



周囲が静まりかえり、仲間たちが距離を置く中、リクはマリーと二人きりになった。緊張した空気が二人の間を漂い、リクは言葉を選ぶのに苦しんでいた。彼はマリーの不安そうな目を見つめ、心の奥にある秘密を明かす決意を固めた。



「マリー、実は…僕には特別なスキルがあるんだ。」リクは言葉を切り出した。彼の声は小さく震えていたが、言わなければならないという思いが胸を押し上げる。



「特別なスキル?」マリーは驚きの表情を浮かべた。彼女の目には、興味と少しの恐れが交錯している。「それは一体…?」



「“やり直し”というスキルなんだ。失敗したら、その時点からやり直すことができる。」リクは短く説明した。言葉が彼の心に重くのしかかる。彼は、これを打ち明けることでマリーがどんな反応をするか、不安でいっぱいだった。



「やり直し…それって、つまり、何度も同じことを繰り返せるってこと?」マリーは考え込むように言った。「それなら、すごく便利なスキルね。でも、どうしてそんなことを隠していたの?」



リクはしばし黙り込み、彼女の目を見つめた。「それを話すのが怖かったんだ。この力があることで、他の人たちと違う存在になってしまう気がして…だから、言えなかった。」



マリーの表情は次第に柔らかくなり、彼女の心の中にあった不安が少しずつ和らいでいくのを感じた。「でも、リク…それでもあなたの力は変わらない。仲間を助けたいという気持ちは、誰よりも強いんでしょう?」



「そうかもしれない。でも、この力があることで、僕は本当の意味で仲間として受け入れられないかもしれないって思った。だから、みんなのために一人で強くなろうと考えたんだ。」リクの言葉には、葛藤と孤独がにじんでいた。



「でも、私たちも一緒にいる意味を忘れないでほしい。あなたがどんな力を持っていても、私たちはあなたを仲間だと思っているから。」



マリーの言葉がリクの心に響く。彼は彼女の真剣な眼差しを見て、少しずつ緊張が和らいでいくのを感じた。「ありがとう、マリー。でも、僕は本当に一人でやってみたい。失敗したら、またやり直せるから。」



その瞬間、マリーの表情が変わった。「リク、私はあなたと一緒にいたい。それが私の決意だから。」



「でも…パーティーを抜けるってことは、他のみんなに迷惑をかけるかもしれない。」



「それでも、私はあなたについていく。」マリーは毅然として言った。「あなたの力がどうであれ、私はあなたの仲間として、あなたが挑む冒険を共にしたい。だから、パーティーを抜けることに決めた。」



リクは驚いた。彼女の言葉が重く、そして力強い。彼は彼女の決意に対し、心の奥で感謝と驚きを感じた。「本当にいいのか?他のみんなはどう思う?」



「それは、私が決めたこと。あなたと一緒にいることが、私にとって一番大切だから。」マリーはリクの目を真っ直ぐに見つめ、揺るぎない決意を示した。



その瞬間、リクは彼女の意志の強さに心を動かされた。彼は思わず微笑み、彼女の手を優しく握った。「ありがとう、マリー。君がいてくれるなら、僕も頑張れる。」



二人の間に流れる空気が和やかになり、リクは心の奥で新たな決意を抱いた。マリーの存在が、彼の心を強くし、未来への不安を少しずつ払拭していく。彼は仲間と共に進むことで、さらに強くなれると確信した。


「じゃあ、これからは二人三脚で頑張ろう。」リクは新たな冒険の始まりを感じ、心の中で希望が芽生えていくのを実感した。

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