リクの決意



リクたちが無事にボスを倒した後、キャンプの焚き火を囲んで談笑している中、雰囲気が和やかに流れていた。月明かりが優しく彼らを照らし、仲間たちの笑い声が響く。


だが、リクはどこか落ち着かない様子だった。彼の心には迷いと葛藤が渦巻いていた。そして、思い切ってその決意を口にする時が来たのだ。


「みんな、ちょっと話があるんだ。」


その言葉に、周囲は一瞬静まり返った。カインやマリー、他のメンバーは驚いた表情でリクを見つめる。


「どうしたの、リク?」マリーが心配そうに問いかける。


リクは深呼吸し、言葉を選んだ。「実は、僕…このパーティーを抜けたいと思ってる。」


一瞬の静寂が流れた。カインは目を見開き、「え?」と声を漏らした。彼の表情には、驚きと戸惑いが混ざっている。


「どうして…?」カインは思わず問いかける。仲間たちも、リクの突然の発言に混乱している。


リクは視線を床に落としながら続けた。「僕はもっと強くなりたい。自分の力を試したいんだ。パーティーにいると、仲間に頼りすぎてしまう気がして…」


「でも、私たちは一緒に強くなれると思ってた!」マリーが声を上げる。彼女の目には不安が浮かんでいる。


「それはそうだけど…」リクは頭を抱え、「今の自分には、もっと挑戦が必要なんだ。だから、一度一人でやってみたい。」と告げた。


カインはリクの言葉に胸が締め付けられるようだった。「でも、俺たちはリクを必要としてる。パーティーの一員として一緒に冒険したいんだ。」


他のメンバーも頷きながら、リクに賛同する。「私たちの絆は、リクの成長にもつながると思う!」と別の仲間が声を上げた。


リクはその言葉を聞き、心が揺れた。彼自身も仲間たちとの絆を大切に思っている。しかし、自分の成長のために、今は一歩踏み出す必要があると感じていた。


「みんなの気持ちは嬉しい。でも、僕はこのままじゃ成長できない気がするんだ。自分の力を試すためには、やっぱり一人でやってみたい。」


その決意は固い。リクは目を閉じ、自分の選択を胸に刻むように語った。仲間たちは無言のまま、その重い言葉を受け止める。


「どうか、理解してほしい。」リクは涙を堪えながら、仲間たちを見つめた。


沈黙が続く中、カインがやがて口を開く。「リクが選んだ道なら、俺たちも応援するよ。でも、戻りたくなったら、いつでも帰ってきていいからな。」


「ありがとう、カイン。みんなも。」リクは心から感謝し、仲間たちの思いを受け止めた。


その瞬間、彼の心には決意と寂しさが同居していた。新たな冒険へ向けての一歩が始まると同時に、仲間たちとの絆が一層強くなることを信じて。

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