それぞれの想い
リクがボスを倒してレベルアップした瞬間、マリーは思わず息をのんだ。戦いの最中も決して諦めずに前に進む彼の姿に、目を奪われたのだ。リクはいつも冷静で、彼なりに計算した動きをするタイプだと感じていたが、今回は違った。彼の眼差しには、決意と、何か他の強い意志が感じられたのだ。
「リクって、こんなに強かったんだ…」
マリーは自然と呟いてしまった。ずっと自分たちと同じ駆け出しだと思っていたリクが、まるで違う存在に見えてきた。何度も失敗しながら、それでも前に進んでいく姿に、彼女は勇気づけられた。自分ももっと強くなりたいと、初めて心の底から思った瞬間だった。
仲間の一人、カインもまた、リクに対する見方が大きく変わった。彼はリクと肩を並べて戦いながらも、実際には彼の本当の強さを理解していなかったことを今さらながら実感していた。
「正直、リクがここまでやれるとは思ってなかったよ。」
カインはリクに敬意を込めて、心の中でそう呟いた。リクは周囲に誇張することもなく、自分の力をただ静かに発揮する。仲間として彼の成長を見るたびに、自分の努力もまだまだ足りないと痛感させられる。リクの背中を追いかけることが、彼にとっての新たな目標となっていた。
「これからもっと強くなったら、どんな冒険が待っているんだろう?」
カインは少し期待を膨らませながら考えた。リクの成長は、仲間たちにとっても刺激となり、自分たちの目標を見直すきっかけになっている。彼の存在が、パーティー全体を底上げしているのだ。
その夜、パーティーがキャンプをしている最中、マリーはふとリクを見つめながら考え込んでいた。彼の強さの裏には、何か隠されている気がする。それでも、彼は一言も弱音を吐かず、前へと進んでいる。
「リクが頑張ってるなら、私ももっとやらなきゃ…」
彼女の中で静かに湧き上がる決意が、今まで以上に強くなっていくのを感じた。リクに追いつき、いつか並んで戦えるようになるために。彼の存在が、マリーにとって大きな希望となりつつあった。
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