仲間の疑念
ダンジョン内を慎重に進むリクたち一行は、次の部屋へとたどり着いた。そこには、大量のトラップと魔物が配置されており、一見して難易度が高いと感じさせる配置だった。しかし、リクは過去の経験を活かし、的確な指示を出しながら仲間たちを導いていく。
「カイン、次は右の壁側に!リナ、後ろに気を付けて!」
リクの指示に従い、二人は安全な位置に移動しながら、魔物を的確に倒していく。その行動の流れがあまりにスムーズで、カインも思わず驚きの声を上げた。
「リク、本当にすごいな…。まるで、この先が全部わかってるみたいだ」
その言葉にリクは少しドキッとしながらも、笑顔でごまかすように答えた。「まぁ、なんというか、慣れてきたのかな」
だが、リクの心には少しだけ焦りが募っていた。自分の力が強くなりすぎて、隠し通せなくなるのではないかという不安が頭をよぎる。今はまだスキルの正体を明かすつもりはないが、やり直しの回数が増えるたびに、その隠し続けることがどれだけ難しくなっているか、リクも感じ始めていた。
ふとした拍子にリナが近寄り、声をひそめて尋ねた。「リク、何か私たちに話してないことがあるんじゃない?こんなに的確に罠を避けたり、魔物の行動を見通せるなんて…普通じゃないよね」
リクは一瞬固まったが、すぐに笑顔を浮かべ、なんとか話をそらすことに成功する。「いや、実は過去に似たようなダンジョンで訓練したことがあってさ。ちょっとした経験が役立ってるんだ」
リナは少し疑念を抱きつつも、その場は納得するようにうなずいた。しかし、リクの中には隠しきれない焦りが徐々に積み重なっていく。彼がこのまま「やり直し」を続けていく中で、いつか仲間にすべてを明かすべき時が来るかもしれない――そんな考えが、彼の胸に宿り始めていた。
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