打ち明けるべきか



帰り道、リクは一人で歩きながら、自分の心に問いかけた。「いっそのこと、打ち明けてしまった方が楽になるかもしれない…。」



彼がそう思ったのは、カインたちとの絆が深まってきたからだ。彼らはリクを信頼し、そしてリクも彼らを信頼している。この信頼が崩れることを恐れ、口に出せないことが余計に彼の胸を締め付けていた。



「でも…やり直しの力があるからこそ、僕はここまで来られたんだ。もしかしたら、カインたちは理解してくれるかもしれない。」少しずつ、リクの心の中で迷いが晴れていくような気がした。



その時、遠くで聞こえたのは、仲間たちの笑い声。振り返ると、カインやリナ、マリスがリクを待っていた。「おい、リク、早くしろよ!」カインが手を振って呼びかけている。



リクは小さく笑いながら駆け寄った。彼らの温かい笑顔に触れて、リクは心を決めた。「…今すぐには無理かもしれないけど、いつか、ちゃんと伝えよう。」それがいつになるかは分からない。しかし、リクは一歩ずつ、仲間たちへの信頼を深めながら、いつか真実を話せる日が来ると信じていた。



* * *



リクが目を覚ますと、周囲は先ほどの緊張感の漂うダンジョンの入口付近。視界がクリアになり、彼は瞬時に状況を理解した。


「…また、戻ったのか」


やり直しのスキルを発動したことで、リナが罠にかかる直前の地点に戻っていた。心の中で仲間たちが窮地に陥ったシーンが浮かび上がり、リクは歯を食いしばった。彼の頭には、さっきの失敗が刻まれている。だが、今度は同じ過ちを繰り返さないと決意を固めた。


「絶対に守る…」


リクは、改めて冷静に周囲を観察し、どのタイミングで罠が発動するかを頭の中で再構築していった。慎重に計算しながら、リナが罠のポイントに差し掛かる直前に声をかけた。


「リナ、そこは気をつけて!少し下がって!」


不思議そうに振り返るリナだったが、リクの必死な表情に気づき、そのまま一歩下がる。すると、まさにその瞬間、彼女が踏むはずだった床が不自然に揺らぎ、魔法の罠が発動した。


「リク、どうしてこの罠の場所がわかったんだ?」カインが驚きの声をあげる。


リクは一瞬言葉に詰まりながらも、やや曖昧な笑みを浮かべて答えた。「なんとなく…勘が働いたみたいで」


その後、リクたちは罠を無事回避し、奥へと進む。すると再び、先ほど出現した魔物たちが姿を現した。だが、今回はリクが事前に彼らの配置や攻撃のパターンを把握しているため、冷静かつ的確に対処することができた。


「行くぞ!」リクが声を上げ、仲間たちに指示を出しながら、先頭に立って魔物を撃退していく。その様子にカインもリナも目を見張っていた。


「リク、本当にすごいね…まるで初めて見る動きじゃないみたいに、次の行動が全部わかってるようだ…」


「ありがとう、リナ。今回は絶対に君を守り切るよ」


その言葉にリナはほっと微笑んだが、リクの心には、やり直しを重ねているという秘密が重くのしかかっていた。しかし、仲間を救うためにはこの力を使い続けるしかない。それでも、自分が強くなるために必死に向き合う覚悟が今、彼の胸に根づいていた。


「絶対に、もっと強くなってみせる。何度でもやり直して…自分の手で仲間を守るために」


リクは自分の拳を握りしめ、次の試練へと足を進めた。

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