協力クエストとリクの葛藤



翌朝、リクはギルド前に立ち、カインの到着を待っていた。しばらくして、カインが仲間を引き連れてやってきた。彼の仲間には、アーチャーのリナと、ヒーラーのマリスがいた。二人とも経験豊富な冒険者であり、特にマリスは回復魔法のエキスパートとしてギルド内で評判だった。



「リク、彼女たちが俺の仲間だ。今日はこのメンバーで、少し強敵と戦ってみようと思う。」



リクは緊張しながらも挨拶し、メンバーに加わった。仲間と共に行動するのは初めてで、どこか新鮮な感覚があった。



クエストの対象であるモンスターが現れると、リクたちは各自の役割に従い、順調に連携して戦闘を進めた。リクはカインたちの動きに合わせ、持てる力を最大限に発揮した。仲間との連携を通じて、個人プレイでは得られない戦術やタイミングの重要性を学び、さらなる成長を実感した。



戦闘後、カインが笑顔でリクに語りかけた。「リク、君にはソロの素質もあるが、こうして連携することでより多くのことが学べるだろう。自分の強さに驕らず、経験を重ねていけよ。」



リクは仲間たちに感謝しながら、自分が目指すべき冒険者像が少しずつ明確になってきたと感じていた。彼は一人でも強くなることを追求しつつ、仲間との絆を通じて新たな可能性を開く道も選んでいこうと決意した。



* * *



リクはカインたちと共に新しいクエストに挑むたびに、心の奥底で小さな葛藤を抱えていた。彼には“やり直し”という、他の冒険者にはない特別な力がある。これまで何度も失敗と成功を重ね、自分を鍛えてきたのはこの力のおかげだ。しかし、このスキルの存在を他人に話すことは一度も考えたことがなかった。



ギルドの酒場で仲間たちとクエストの振り返りをしていた時、カインがふとリクの肩に手を置いて言った。「リク、お前、時々驚くほど冷静に動いてるよな。どうしてそんなに余裕があるんだ?」


その言葉に、リクの心が一瞬、揺れた。やり直しのスキルがあるから、いつでも再挑戦できると分かっている。だから失敗を恐れず、冷静でいられる。しかし、それをそのまま話すわけにはいかない。



リナが笑いながら口を挟んだ。「まあ、カイン、リクはリクで才能があるんでしょ?強くなるペースが早いのも、きっとそのおかげよ。」



リクは笑顔を浮かべつつも、自分の中で言い訳を考えていた。「そうだ、みんなには僕の力を秘密にしておいたほうがいい。今話したら、きっと変な目で見られる…それに、他の人からすれば“やり直し”なんてずるい力だと思われるかもしれない。」



けれども同時に、仲間への隠し事が心に重くのしかかっていた。もし何かの拍子にスキルの存在が明らかになれば、彼らはどう思うだろうか?信頼を失うかもしれない。そう考えると、リクの胸は痛んだ。

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