新たなる出会い



ギルドでリクがジャイアントウルフの討伐報告を終えて数日が経った。彼の実力が認められ、少しずつ周囲の冒険者たちもリクに対する見方を変え始めていた。そんなある日、ギルドの掲示板前で次のクエストを探していたリクに、見知らぬ若い冒険者が声をかけてきた。


「君がリクか?噂は聞いてるよ。新入りでソロでオーガを倒し、ジャイアントウルフまで討伐したって。」



振り返ると、目の前には短髪で筋肉質の青年が立っていた。彼の名はカインといい、リクと同年代だがギルドでもそこそこ有名な冒険者だった。カインは実直で、自分に厳しい性格で知られている。



「俺はカインだ。ちょっと話したいことがあってね」


リクは少し緊張しながらも頷いた。「話…ですか?」



カインはリクを酒場の片隅に連れて行き、じっくりとリクに尋ね始めた。「俺も戦士だから、ソロで強敵に挑む気持ちはわかる。でも、いきなりジャイアントウルフに挑戦するとはね。正直、その成長の早さが信じられないんだ。」


リクは少し困惑しつつも、自分のスキルややり方を話せる範囲で説明した。自分の成長に対する熱意や、やり直しの力が支えになっていることも言葉を選びながら伝えたが、その“やり直し”の意味についてはぼんやりと濁した。



「なるほど…やり直しの力ってことか。ふむ、それにしても君の成長速度は凄まじいな。」


カインは感心した様子でうなずいた。そして、リクに向かって提案を持ちかけた。


「実は、今度少し強めのクエストに挑む予定なんだが、どうだ、一緒に行かないか?君がどんな風に戦うか、少し見てみたいんだ。」



突然の誘いに、リクは戸惑った。これまでずっと一人で戦ってきた彼にとって、他の冒険者との連携や協力は未知の領域だった。しかし、カインの実力はギルド内でも評判であり、彼と共に戦えば新たな発見やスキルアップが期待できるかもしれない。



「俺の戦い方が…少しでも参考になるなら、喜んで協力させてもらいます!」



リクは意を決してカインの提案を受け入れることにした。カインは笑顔で頷き、リクに肩を叩いた。「よし、決まりだ!じゃあ明朝、ギルド前に集合だ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る