臨時パーティー
ギルドでの評判が広がる中、リクはますます注目を集めるようになっていた。自分でも驚くほどのスピードでレベル5に達し、周囲の冒険者たちの視線が熱を帯びるのを感じていたが、浮かれた様子は見せなかった。
その夜、ギルドでリクの成長を聞きつけた中堅の冒険者たちが声をかけてきた。
「リク、君、今度の森林の討伐クエストに参加してみないか?仲間がもう一人必要なんだ。」
リクは誘いに戸惑いながらも、実力を試せる機会だと考え、参加を決意した。長期でパーティーを組むことは「やり直し」のスキルとの兼ね合いで望ましくないが、短期ならいいかと思った。
翌朝、指定された集会場所に向かうと、そこには熟練の冒険者たちが待っていた。
* * *
森の中に入ると、昼間にもかかわらず、薄暗く不気味な静けさが漂っていた。リクは周囲を見渡しながら慎重に足を進める。リーダー格の冒険者が小声で指示を出し、全員が気を引き締めていた。
やがて、森の奥で魔物の気配が感じられ、リクたちは戦闘態勢を整えた。今回のターゲットは「シャドウスネーク」と呼ばれる大型の毒蛇で、非常に動きが素早く、視界に入りにくい厄介な魔物だ。
リーダーが囁いた。「油断するなよ。こいつは攻撃力が高い上に、急に姿を消すこともある。特にリク、君はまだ経験が浅いから、後方で支援に回るんだ。」
リクは少し悔しい思いもあったが、自分がまだ未熟であることを理解している。彼は慎重に位置取りし、仲間がシャドウスネークに対処するのを見守った。
戦闘が激しさを増す中、シャドウスネークが急にリーダーの背後から現れ、攻撃を繰り出した。その瞬間、リクは無意識に身体を動かし、リーダーを庇うようにして盾で受け止めた。
リーダーが驚きの表情でリクを見た。「助かったよ、リク…思った以上に動きが早いじゃないか。」
リクは息を整えながら微笑み、「俺も成長してるみたいです」と答えた。戦闘を続ける中で、彼は自分のスキルと経験が少しずつ向上しているのを実感していた。やり直しの力で積み重ねた経験が確実に生きていることを、彼は再確認する。
シャドウスネークを無事討伐した後、リクたちはギルドに戻り、報酬を受け取った。リーダーはリクに感謝の言葉を述べ、仲間たちも彼の成長を称賛した。
ギルドで一息ついたリクは、新たな決意を胸に掲示板へと足を向けた。彼の目には、次なる挑戦が映っていた。
「今度こそ、もっと上のクエストに挑んでみよう…強くなるために。」
リクはその場で次なるクエストに挑む覚悟を決めた。
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