ここがようやくスタートライン



リクは達成感に包まれたまま、ギルドへと足を運んだ。入口をくぐると、受付の女性がリクに気づいてにこやかに微笑んだ。


「リクさん、おかえりなさい。今日もクエストをこなしたのですね?」


リクは少し誇らしげにうなずきながら、ステータスプレートを差し出した。


「ええ、今回はダイアウルフを倒しました。それで…見てください、レベルが5に上がったんです。」


受付の女性は驚きの表情を隠せなかった。彼女はステータスプレートを確認すると、目を見開いてリクを見つめた。


「本当に、レベル5に…!?リクさん、オーガを倒してからまだそんなに時間が経っていないのに、もうレベルが上がったんですか?」


彼女の驚きに、リクも少し戸惑ったが、内心では自分の成長の早さに密かに喜びを感じていた。冒険者の中でも、レベルを上げるのは容易なことではなく、通常は数カ月、あるいは数年かかるのが普通だ。それがリクの場合、短期間でここまで成長したことに周囲が驚くのも無理はなかった。


近くにいた他の冒険者たちも、受付の女性の声を聞いて興味を持ち、リクの方に視線を向けた。


「おい、あの子…本当にレベル5になったのか?つい最近まで初心者だったのに」


「どうやら本当らしい。普通、レベル5になるまでにはいくつもの難関を越えないと無理だろうに…」


噂話が広がり、次第にリクは注目の的となっていった。彼は少し恥ずかしそうにしながらも、内心では自分の努力が報われたことを嬉しく感じていた。


受付の女性が少し落ち着きを取り戻し、微笑みながらリクに尋ねた。


「リクさん、このスピードで成長するのは本当にすごいことですよ。この調子なら、もっと難しいクエストも受けられる日も近いかもしれませんね。」


彼女の言葉に、リクは胸の奥で新たな決意が芽生えるのを感じた。


「ええ、ありがとうございます。でも、まだまだ自分には足りないものが多いですし、もっと強くなりたいです。」


周囲の冒険者たちの視線と噂に背を押されながら、リクは新たなクエストに挑む決意を固めた。彼にとって、この短期間での成長はただの始まりに過ぎないと感じていた。

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