第9話 悩める参謀
「…それじゃ、行ってきます。」
「あ、うん…行ってらっしゃい。」
「…………、暇だ…。」
水麗は普通に学校に通う、普通の学生だ。
それが何を意味するかと言うと、日中のわたしは、やる事が無い…。
「魔法の練習が出来る場所に飛ばして貰えば良かった…。」
なんて、今更言っても仕方ないんだけど。
…昨日まではバタバタしていたし、今日はしっかり今後の事を考える時間にしようかな。
まず1つ言えるのは、水麗の転移魔法が鍵を握ると言う事。一旦ベルリンの土を踏んでおけば、いつでも
ただ問題は、具体的に奴らの本拠地がどこにあるのか分からないって事なんだよね…。
軍人として勤務している時にファルケンハインを狙うなら、軍を相手取って戦う事になる。幾ら何でも無謀過ぎる。
選択肢はいくつかあるけど、結社からの追手を捕まえて吐かせるのが1番早い気はする。
でも、簡単に情報を売りそうな末端の魔術師がアジトを知っているのかは分からない。幹部級なら、どれだけ痛め付けても吐かないかも。
「……うーん……。」
…思考が行き詰まって来た。
他の事を考えよう…。
そもそも、わたしと水麗なら本当にファルケンハインに勝てるのか。
確かに、水麗の魔法の実力は相当なものがある。同世代の魔術師に比べれば頭一つ抜けているとは思う。
でも、それで、ドイツ一の魔術師に勝てるのかと言うと…。
「こればっかりは、やってみないと分からないか…。」
何か、水麗の実力をもっと詳しく試せる機会があれば良いんだけど…。
「…そうだ。」
考えてみれば簡単な話だ。わたしが、水麗と模擬戦をやれば良いんだ。それなら、水麗の実力を肌で感じる事が出来るはず。
「さっそく、帰って来たら提案してみよう。」
「ただいま。」
「おかえり。…何だか、疲れてる?顔色が悪い様な気がするけど…。」
「…、学校に居ると、落ち着けないから…。」
「そっか…。」
「それより、その漫画、面白かった?」
「うーん…、水麗が2巻を買わなかったのも頷ける内容だったかな…。」
「そう…。」
「それにしても、どうしてこんな良く分からない漫画を買ったの?」
「何か、刺激を得られないかと思って。」
水麗、この
「犬系彼女がゆく!異世界に転生したら、獣人族のオスからモテまくって婚活無双〜ビーフジャーキーは剣より強し〜」
から、どんな刺激を得るつもりだったんだろう…。
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