第8話 怖いもの知らず

「軍…? そんな組織の人間が、軍人になれるものなの?」


「順序が逆…と言うか、軍人が結社を作ったって感じかな。勿論、公表はされてないよ。」


「そうなんだ。それで、そのファルケンハインって人は、強いの。」


「そうだね…、少なくとも、私が真正面からぶつかったらまず押し負けると思う。

…ヨーロッパでも指折りの魔術師として、有名な相手だから。」


「……それでも、涼音は殺したいんだよね。」


「うん…。」


「それなら、相手が誰でもやる事は変わらない。」


「………ねぇ、水麗。あなたは、どうして、そこまでしてくれようとするの?」


「…涼音の、感情を全て乗せて撃った様な魔法が、私の心に焼き付いて離れない。」


「……へ?」


「こんな感覚、初めてなの。涼音と一緒に居れば、この、色の無い暮らしから抜け出せるかも知れない。…そう思ったから。」


「その言い方だと、今は」


「…お風呂に入って来る。」


「あ、う、うん。」




「…、あの子の過去には、触れない方が良いのかな…。」


結局、その日の内は、まふゆの言葉の真意を聞き出す事は出来なかった。

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