第6話 類は友を呼ぶ?
「…夕飯、シチューで良い?」
「あ、うん。ありがとう。わたしも手伝おうか?」
「大丈夫。」
転移魔法で家に戻るやいなや、水麗は冷蔵庫にある材料で夕食を作り始めた。
手慣れている様に見える。
…そう言えば、水麗の家族は居ないのかな。
「1つ、聞いても良いかな?」
「…何。」
「ご両親とか、他に住んでいる人は居ないの?」
「……。」
ポーカーフェイスの彼女が、少し憂いた表情を浮かべた。
何か不味い事を聞いてしまったのかな…。
「あ、言い辛い事だったら…」
「居ないよ。」
「え?」
「事故で死んだから。」
「そ、そっか…。…ごめん、無神経だった。」
「別に構わない。…涼音の家族は、こんな所に居て、心配しないの。」
「わたしも…もう、居ないんだ。」
「そう…。似たもの同士だね。」
「そう…かもね。」
水麗はそれ以上、何も追及して来ない。
さっきは気まずいと思ったけど、案外、こう言う距離感で接してくるのも悪くない気がした。
「…暇なんだったら、そこの本棚にある本、適当に読んでいて良いよ。」
「本…、うん、ありがとう。」
簡素なリビングだけど、ソファの横に大きな本棚が置かれている。
初心者向けからマニア向けまで揃った様々な魔導書、心理学に関する本、生物学に関する本に…漫画まである。
でも、どの漫画も1巻しか置かれていない。
合わなかったのかな…。
取り敢えず、水属性の魔法を専門に扱った魔導書を手に取る事にした。
「…ご飯、出来たよ。」
「ん…、もう6時か…。」
「冷めない内に、食べよう。」
「…美味しい。」
「それなら、良かった。」
「水麗は、シチューが好きなの?」
「私が小さい頃、良くお母さんが作ってくれた。その名残りかも知れない。」
「そっか…。」
「…ねぇ、涼音の家族は、どうして居なくなったの。」
「…そうだね。これから水麗に協力してもらうなら、話さないといけない事だと思う。」
「…ドイツに、何かがあるの。」
「…………うん。」
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