第2話 心を射抜くもの

今日もまた、変わり映えのしない授業が終わった。周りのクラスメイトに笑顔を振り撒きながら、教室を後にする。


「今日は新しい魔法を試そうかな…。」


…え? あれは…。


ぼうっと帰り道を歩いていた私の視界に飛び込んで来たのは、燃え盛る1棟のマンションだった。どこから火が出たのかは分からないけど、明らかに消火が追い付いてない。駆け付けた消防車も業火を前に、焼石に水だ。


「どうしよう…。迂回して帰らないと。」


私が違う道から帰ろうとした次の瞬間、奇跡を見た。


突如現れた巨大な波が、瞬時にマンションを覆った。


今のは…水属性の魔法?


「凄い…。」


これだけの魔法を撃ち出す技量も凄い。それに、あの魔法からは意思を感じた。


誰かを救いたいと言う明確な意思を。



その日の晩、ニュースであの火事の事が報道されていた。大波は炎だけを消し去り、マンションから逃げ遅れた人達には殆どダメージを与えなかったらしい。相当に細かい威力の調整、並の魔術師に出来る芸当じゃない。それに、


「綺麗、だった…。」


私は、あの魔法に魅せられてしまっていた。


「100人の命を救った英雄、か…。」



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