スナイパー
yg
第1話 化けの皮
「あ、おはよう!碓氷さん!」
「おはよう、今日も元気だね。」
「元気だけが私の取り柄だからね〜。それはそうと〜、今日の課題、写させてくれない!?やってくるの忘れちゃってさ〜。」
「えー、課題はちゃんと自分でやらないと意味がないよ?」
「お願い!今日だけだから!」
「ちょっとちょっと。この間もそうやって写させてもらってたじゃん。」
「あれは_」
クラスでの賑やかな時間が流れて行く。…私の本心を置いてけぼりにして。
「それでは、今日のホームルームはここまで。皆さん、さようなら。」
やっと、退屈な1日が終わった。そそくさと帰路に就いた私を、誰も居ない家が待っている。
私、
数学の試験も、魔法の実技も、体育だって、常に成績はトップクラス。クラスの子達とも無難な関係を築けているはずなのに…。
どうして、何か物足りない感情が拭えないんだろう?
私の心は、皆んなを失ったあの日から、動かなくなってしまっていた。
「ただいま。」
…返事なんて、帰ってくる筈がないのに。
「今日も練習しよう…。」
部屋に荷物を置いた私は、いつもの様に魔法を唱える。
「ワームホール」
転移魔法は便利な魔法だ。1度でも訪れた場所の情景を覚えている限り、何度でも瞬時に飛び移る事が出来る。いつか歩いた無人の高原で、放課後に魔法の練習をするのが私の日課になっていた。
「ダイヤモンドダスト。…今日はこのくらいにしておこう。」
いつもこうして、マナ切れの寸前まで魔法を試す。集中して、魔法を撃っている間だけは、全てを忘れられるから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます