スナイパー

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第1話 化けの皮

「あ、おはよう!碓氷さん!」


「おはよう、今日も元気だね。」


「元気だけが私の取り柄だからね〜。それはそうと〜、今日の課題、写させてくれない!?やってくるの忘れちゃってさ〜。」


「えー、課題はちゃんと自分でやらないと意味がないよ?」


「お願い!今日だけだから!」


「ちょっとちょっと。この間もそうやって写させてもらってたじゃん。」


「あれは_」


クラスでの賑やかな時間が流れて行く。…私の本心を置いてけぼりにして。



「それでは、今日のホームルームはここまで。皆さん、さようなら。」


やっと、退屈な1日が終わった。そそくさと帰路に就いた私を、誰も居ない家が待っている。


私、碓氷水麗うすいみれいは、自分で言うのもなんだけど、上手くやれていると思う。

数学の試験も、魔法の実技も、体育だって、常に成績はトップクラス。クラスの子達とも無難な関係を築けているはずなのに…。


どうして、何か物足りない感情が拭えないんだろう?


私の心は、皆んなを失ったあの日から、動かなくなってしまっていた。



「ただいま。」


…返事なんて、帰ってくる筈がないのに。


「今日も練習しよう…。」


部屋に荷物を置いた私は、いつもの様に魔法を唱える。


「ワームホール」


転移魔法は便利な魔法だ。1度でも訪れた場所の情景を覚えている限り、何度でも瞬時に飛び移る事が出来る。いつか歩いた無人の高原で、放課後に魔法の練習をするのが私の日課になっていた。


「ダイヤモンドダスト。…今日はこのくらいにしておこう。」


いつもこうして、マナ切れの寸前まで魔法を試す。集中して、魔法を撃っている間だけは、全てを忘れられるから。



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