第7話 鉱山で発掘

お店に着くと、もう三時だった。


「失礼しまーす」


扉を開けてお店の中に入ると、お姉さんが立っていた。


「あ、来た来た!」




お姉さんが箱を手に持って歩み寄ってくる


「もしかしたら忘れてるんじゃないのかと思ってたよ~」


「すみません、用事がありまして」




まぁ、確かに忘れかけてたけど。


「私の作品の中でも最高傑作と言ってもいいものになったよ~。きっと君に似合うよ」




お姉さんが手に持っていた箱を開けると、中にアクセサリーが入っていた。どうぞ、とお姉さんが箱を手渡してくれる。箱から取り出したアクセサリーを見て、自然と声が出た


「すごい……きれい」




金の丸いフレームに、紫色の宝石がはまっていた。その宝石は、星空のようで、よく見ると青色や赤紫など、いろいろな色が混ざっていた。そしてその宝石の中には、星のように金の輝きを放つ小さい粒がいたるところに見られる。


「星空みたいですね!」




お姉さんはそれを聞いて笑う。


「そう、だから星石と呼ばれている」


「せいせき……?」


初めて聞く名前だ。




「見る角度を変えてごらん」


後ろから見てみると、さっきは星々が輝いている夜空のようだった石が、今度はオーロラの夜空のようになっている。




「その石は、星石の中でも特に貴重なものでね、見る角度によって見える星空が変わって見えるんだよ」


すごい、角度を微調整することで、星空の色も違って見える。今まで見たことのない石だ。


「本当にきれいな石ですね、ありがとうございます!」




その後は、お姉さんと宝石の話やアクセサリーの話をつづけた。


「それでね、この山で採れる太陽石ってやつが……あ、お客さんだ」




お客さんが来たので、お姉さんはお客さんの対応へ行く。時計を見るともうすぐ四時だ。そろそろ戻らなきゃ。




「お姉さん、私時間なので戻ります。ありがとうございました!」


「わかったわ、気を付けてね」




店を出て城へ向かう。城について屋上に向かうと、何人かの人たちも屋上へ向かっていた。


「おや、お嬢ちゃんが今日宝石採掘を手伝ってくれるっていう子かい?」


 


どうやら今日一緒に作業をする人たちのようだ。


「はい、リアンといいます。よろしくお願いします」


「よろしく。俺は採掘隊のリーダーをしてるトウだ。よろしく。こっちがジェンとジャン。双子だ」




そうして宝石のことについて話しながら屋上ヘ上っていった。屋上に着くと、もうデリットさんがいた。




「やぁ、みんな来たね。今日手伝ってくれるリアンちゃんの紹介は……もういらないみたいだね。じゃあ今回の採掘の内容を言う」






デリットさんは床に地図を広げる。鉱山の中のだろうか


「今回採掘するのは、鉱山の六層だ。ここはまだ採掘したことないから、見たことのない宝石も期待できる。深部でもないから地形も単純だ。だから比較的楽な作業となるはずだ。そういえば、リアンちゃんは鉱山が何かわかるかい?」




「宝石を採るところ、とは知ってますが、詳しくは知りません」




「鉱山っていうのは、リアンちゃんも知ってる通り宝石を採掘できる山だ。鉱山は下に下に層があってね、下に行くほど、珍しい宝石や、価値の高い宝石が取れる。でもその分危険も大きくなる。構造的には、どちらかと言うと洞窟かもね。じゃあ早速いってみよっか」






デリットさんについていき、鉱山に着いた。確かに外から見たら普通の山だ。


全員配られた服と装備を身に着ける。装備には、疲労軽減や筋力増加の魔法が付与されている。




「注意事項。みんなとバラバラにならない。はぐれたら落ち着いて魔道具で連絡を取る。常に周りに気を付ける。ここまではいつもと同じだが、今回の六層は他の層とは一つ違うところがある。絶対に青い光の方に行くな。見つけたら僕に知らせてくれ」




採掘隊の人たちも初めてのことなのか、すこしざわついている。


「なんで、青い光の方に行ったらダメなんだ?」




トウさんがデリットさんに聞く


「簡単に言うと、う~ん……神隠しにあうんだ」


神隠し?




「青い光は、ゴーストライトっていう現象なんだ。なぜ光るのか、それが何なのかは今もわからない。近づけないからね。でも近づいた人を見た人たちの話によると、必死に呼んでも返事をしないまま、奥まで行って戻ってこなかったらしい。この現象は、各地で見られるんだけど、どれも六層でだけ見られるんだ。僕も今日、六層のことを調べて初めて知った。もしかしたら六層以外でも見られるかもだから、念のため青い光には気を付けてくれ」




もう一回全員で、装備や注意事項を確認した後、鉱山に入っていく。


「リフトで一気に六層まで降りる。みんな乗って」




みんなが乗ると、デリットさんがレバーを下す。するとリフトがどんどん下に降りていく。だんだん暗くなってきたタイミングで全員手に持っていた魔独具を起動する。この魔道具は起動すると辺りを飛んで照らし続けてくれるものだ。


しばらく降りていくと、リフトが止まった。


「よし、みんな降りよう」




リフトから降り、それぞれ採掘道具を手に取る。


「みんな、僕は六層を調べて地図などを作ってくるから、トウさんの指示で動くように」


そうしてデリットさんは、奥に行ってしまった。




「じゃあ、まずは北側へ数メートル掘った後に、下に掘っていこう」


トウさんの指示でそれぞれが北の方向へ掘り始める。




数時間立つと、トウさんから次の指示がでる


「斜め三十度くらいで下に掘っていくぞ~」




そして再び一時間ほど掘っていると、カツンッと何かにあたった。


「トウさん~何かにあたりました」


トウさんがこちらに来て確認してくれる。




「リアンちゃん、ナイスだ。これは星石だ。しかもかなり質がいい」


手渡された石を見ると、今日私が店でみた星石と同じような石だった。でも正直私の星石の方が綺麗……お姉さんがいいのを選んでくれたんだろうな。改めてお姉さんに感謝。




星石の周りを掘ると、どんどん星石が出てくる。みんなで掘り、星石がなくなってきたとき、デリットさんが戻ってきた。


「今日はもうこの辺にして帰ろう。かなり時間も遅いしね、みんなお疲れ様」




そうしてみんなでリフトに戻っていると、奥で何かが光るのが見えた。なんだろう?


その光の方へ行くと、その光の色が青色なのが確認できた。私はとっさに叫ぶ。


「デリットさん、青い光です!」




「そこを動かないで!」


デリットさんがものすごいスピードで武器を構え、こちらに走ってくる。青い光の方を再び見ると、先ほどまで奥にいた光が、こちらへ向かって来ていた。




デリットさんが私の肩をつかみ、後ろへ飛ばす。そして青い光に向かって剣を振り下ろす。


「みんな、リアンちゃんを連れて下がれ!」




デリットさんの指示で、トウさんたちが私を連れて後ろへ下がる。だが、デリットさんの剣を躱した青い光は、私に向かって飛んでくる。デリットさんが反応してナイフを投げるも、それも光は躱し、私に突っ込んできた。


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