第7話 同好の男
いつものようにショッピングセンターの広い駐車場を歩いていると、見慣れた姿の、見慣れない男と出くわした。
サファリ帽にメガネ。両手をトレンチコートのポケットに。黒靴下から脛をチラ見せし、黒い革靴。私と瓜二つのスタイルだ。我々は照れながら握手をして、ショッピングセンター内のカフェに入った。
「見かけない顔だね」
「はい。始めたばかりなので」
彼と打ち解けられると思っていた。だが、彼が座るとき、一瞬はだけたコートから剃毛された脛が顕わになったのを見て、「大同小異?」という言葉が頭をよぎった。
彼は、鍛え上げた筋肉を誇示するのが目的で、ビキニパンツを着用し、掛け声は「どう?」だという。
私は、ただ若い女性が驚く顔が見られればいい。もちろんブリーフなぞ履いておらず、掛け声は「な?」だった。
そんな彼の持ち物は、みんな、私のよりも上質だ。
それ以降、私には「敵愾心」しかなくなっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます