p54

「おかえり海果。」


台所ではママがエプロンをしてお菓子作り。


時計を見ると8時を過ぎていた。


「夕飯は?」


「食べてきた。」


「そう。海果の夕飯冷蔵庫にあるから、朝にでも食べなさい。」


「うん、そうする。」


「あ!」


突然ママが大きな声を出すから、私はびっくりして肩が飛び跳ねた。


「卵、忘れてた。そういえばパパは?」


「なんか、さっき、出てったよ。コンビニかな?」


「なら悪いけど追いかけてくれない?卵切らしてるのすっかり忘れてたわ。」


「分かった。行ってくる!」


私は急いでパパを追いかけた。するとコンビニまでの道のりに公園があって、そこにパパと勇里さん。


え、なんで2人が一緒?もしかして、バレた⁈


「俺の娘になんで近付いたっ?」


なんか、パパ怒ってる?


「オカマのフリまでして、一体何がしたいんだ⁈」


やっぱり、オネェってだけで偏見があるの?

男は男らしくしなさいっていう考え?


勇里さんがどんな格好をしようが、どんな話し方をしようが、勇里さんの自由じゃん。


復讐ふくしゅうだよ。」


…え?誰の声?冷酷で低い声。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る