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嬉しくて幸せで、頬が赤く染まっていく気がした。


「海果ちゃん。」


何度も耳元で私の名前をささやいて、何度もキスをして、ワイン色の唇が首へと下がっていく。


「このままお持ち帰りしたいわ。でも、明日も平日だし、そろそろ帰らないとね…。」


寂しそうな目をして、ゆっくりと私から手を離す。


私は、勇里さんの手をぎゅっと握った。


「勇里さんっ!今日も、送ってくれる?」


もう少し一緒に居たい。もう少し、長く。


「えぇもちろん。送るわよ♡」


パッと明るい笑顔になって、私も笑顔になる。


「今日もありがとう。土曜日楽しみにしてるね!暗いから、帰り道気を付けて。」


アパート前で手を振った。


「アタシも楽しみにしてるわ。じゃあね。」


私も大人だったら、もう少し一緒にいられたかな?


「ただいま〜。」


「海果、おかえり。パパ、少し出てくるから。」


私が家に帰ると、パパが慌てた様子で家を飛び出した。コンビニかな?何かの買い忘れとか?

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