7.溢れ出す想い

p38

勇里さんはバッグから香水瓶を取り出した。


「あなたもつけてみる?」


「いいの?」


「いいわよ♡」


シュッと、手首にワンプッシュ。


薔薇の香りが広がって、私今勇里さんと同じ匂いなんだって実感する。


「気に入ってもらえて嬉しいわ。さて、ドライブ再開よ♡」


車は再び走り出した。


「そういえば、どこに連れて行ってくれるの?」


「ふふ。内緒。着くまで目閉じてて?すごく良い場所だから、きっと気に入るわよ。」


そう言われて、ワクワクしながら目を閉じた。


車内に流れているのは、前に私がおすすめした夏を感じるラブソング。勇里さん、この曲気に入ってくれて、私のために流してくれてるのかな。嬉しいな。


「まだ開けちゃダメよ?」


どれくらい走っただろう。車は停車したみたい。


ドアの開閉音がする。勇里さん降りたのかな?

そう思っていたら、助手席のドアも開いたみたい。


「目を閉じたまま、ゆっくり降りて。段差あるから気を付けてね。」


言われるがまま、ゆっくりと降りる。そして、勇里さんに手を引かれて歩く。


優しい風が前髪を揺らして、暑さもあるけれど心地良いのはきっと…


「いいわよ開けて。」


目を開けると、そこに広がっていたのは…

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