第4話 第4話 山形 - 芋煮とそばの心温まる味

しゅんの旅は、山形県へと続く。紅葉が美しい季節、しゅんは山形の代表的な秋の味覚「芋煮」を味わうために、山形市内にある老舗の「山形や」で一息つくことにした。ここでは、地元で長年愛されてきた芋煮が自慢で、しゅんはその土地の食文化を感じる期待に胸を膨らませていた。


店員が運んできた芋煮鍋からは、里芋や牛肉の香ばしい匂いが漂ってくる。しゅんはまず、透き通ったスープを一口飲むと、醤油ベースの深い味わいが体に染み渡る。牛肉の旨味と里芋のほっくりとした食感、そしてたっぷりのネギの風味が絶妙に溶け合い、秋の恵みを感じる温かさがじんわりと広がる。


次に、山形名物の「板そば」を求めて、そばの名店「そば処一休庵」へと向かう。板そばは、山形で古くから親しまれている郷土料理で、木の板に盛られたそばが特徴的だ。しゅんは、冷たい板そばと温かいつけ汁をセットで注文し、そばの香りを楽しみながら食べ進める。


そばをつけ汁に軽く浸して一口食べると、しっかりとしたコシとともに、噛むたびにそばの香りがふわりと鼻に広がる。つけ汁はかつおと昆布の旨味が濃厚で、そばの風味を引き立てる繊細な味わいが絶妙だ。しゅんは「このそば、職人の心意気が感じられるな」と感嘆し、食べるごとに山形の豊かな自然と伝統の味を感じる。


山形の芋煮と板そばを堪能したしゅんは、心も体も満たされながら、次なる目的地へと思いを巡らせる。「山形の味、優しさがいっぱいだったな」としみじみ感じつつ、山形の街を後にした。


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