第6話

アキは翌日、さっそく代官山にあるクイーンズプロモーションに来ていた












和田「アキさん!こちらです。」





アキ「はい。」





和田「今日は君の事業コンセプトを決めようと思う。1年以内に大人気女優になるためにはどうするか。それを決めていこう。」





アキ「はい。」



















和田とあってまだ1週間も経っていないにもかかわらず



話は前へすすんでいった










和田「最初は他の成功者のように清純派ラインで売り出していくのがイイと思うんだ。どうかな。」




アキ「…それで5000万貯められるなら。」




和田「その5000万とはなんだ?」




アキ「私は病気の妹のためにこの世界に入ろうと思いました。手術代に最低でも5000万。アメリカで治療するには必要なんです。」




和田「そういうことか…じゃあこうしよう。事務所が前払いで…」




アキ「それだけはしない。」




和田「なぜだ?その方が手っ取り早く…」




アキは和田の言葉を遮った













アキ「その甘い言葉で父は死んだのよ!!私はあなたを信用した訳じゃない。自分で稼ぐわ。」















アキが声を上げたことに驚く和田













和田「…君なら大丈夫だ。その覚悟があるなら。ただ、相当きついぞ。」




和田はアキを確かめるように





まっすぐ目を見た





アキ「分かってます。私は負けない。かわいい妹のために。」



















アキはまだ迷っていた



芸能界という未知の世界



まだ見ぬ新たな道



大学を休学してすべてをささげる



その覚悟が自分にあるのか模索していた



もう19歳



まだ19歳だ



家族の運命を背負うにはまだ幼すぎた













___________________



和田「ここからが本番だ」



アキ「はい。」




神妙な面持ちだった










和田「君はどういう路線でいきたいんだ?どういう仕事をしたい?うちの事務所は大きい。なにかと融通が利くぞ。この僕がスカウトしたんだから。」








和田は自信満々に言った







アキ「モデルはどうでしょう。最近モデルから一気に女優になる人が多いですし。“パリコレにも出た新人モデル 女優へ転身”…私に清純派は無理かもしれません。顔がシャープすぎる。」






和田「19歳にして自己分析は完璧なんだな。また……パリコレなんて…本気なのか…?」





アキ「こう見えても帝国大学在学中ですよ?英語は高校時代の留学で学びましたし、今の第二外国語はフランス語です。任せてください。身長だって175cmあります。アジア人を求めるなら、ちょうどいい身長です。時期としても3か月後に秋冬のコレクションがあります。その三か月の間、必死に痩せます。演技も磨きます。」







和田「分かった。やろう。僕も一緒に回ろう。」







アキ「ありがとうございます。和田さん。」




































こうして新たな芸能界の道は開いた

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