懐かしい、そんなのあったよね!と言いたくなるものが満載の作品。またストーリーも謎めいていて、まだまだ世界が未知だったあの時の自分とリンクします。この物語に触れた後に窓を開ければ、そっと入り込んでくる、春から夏に変わるゆく風の中に、あの時の自分を感じることができるようです。
私もこの時代に多感な時期を過ごしましたので、本当は描きたいのですが、自分の身に降りかかったことと時代背景の関連性があまりに無さ過ぎて、諦めましたね。
また書き方も独特で私は好きです。ポケットサイズな文章がありがたく、仕事の合間などでサッと1話読んでしまえるところが嬉しいです。
後、ちょっと時期的にズレてるかもしれませんが(私にすればよく似たものですが(汗))、『徹底的に愛は・・・』という大石静さんが書かれて、吉田栄作さん、仙道敦子さんが共演したドラマの本を読んだことがあるのですが、あの書き方を思い出しました。
脚本家さんなので9割が会話で成り立っていました。どうしても伝わらないところだけが描写の記述や(〇〇なメロディが流れている)みたいに添えて書かれていたと思います。
あれはあれでめちゃくちゃ伝わってくるんですよね。私はドラマを見ていませんが完全に頭の中に状況が入ってきましたね。
シナリオは違いますが、その作品と凄く似ていて、頭の中にスッと言葉が入って来て、連想させてくれる作品です。
良い作品に出会えました。ありがとうございました。