第7話 白蛇江を語る

「昨日、本来は名誉のクソがいるはずじゃなかった。そこに対して謝罪は...もう済んだ。だから聞きたい、どうして貴方は白蛇江を一人で討伐できたの?」


三人は真っ暗で見えない椅子に座っていた。カリベルトは鎌江の横に座り、鎌江の対面にベッロが座っていた。

カリベルトは小声で「一人...」と呟いている。


「ん?てっきりどうやって魔力を増やしたのか、という質問だと思っていた。はぁ、その質問はどういう意味だ?どうして俺が倒せたのか、どうやって白蛇江を討伐したのか、どちらでもある気は薄々はしているが」


「どっちも、といいたいけど、前者は任務だから、いつか知れるから後者を聞きたい、白蛇江の能力上、死なないはず」


発言を考えれば今、ベッロは任務を遂行していない、加えてベッロもしくはセレーノ教が白蛇江と戦ったことがあったのだろう。


「話す代わりに俺から質問させてもらう、セレーノ教の最終目的はなんだ?こっちが先に話すから、その間思い出してくれ」


一拍をあけ、俺は振り返るように語り出した。


〜〜〜〜

〜〜〜


白蛇江とは二度しか会ったことがない。一度目は森を探索している時に、ふと霧が濃くなって、その中にやつは居た。当時、俺は白蛇江、世界七大魔獣のことすら知らなかった。だから大きくて白い蛇だと最初は思っていた。

森にはこんなのがいるんだと感心を引いていると熟れたトマトのように赤い眼がギョロっと俺を捉えた。そこで俺も目が合った。が俺の呼吸がおかしくなってきていることに気付いた。舌や手足の感覚が麻痺で薄れていくのがわかった瞬間に来た道を全力で戻っていった。

知っているとは思うがあの濃霧は周りから姿を捉えられないようにする以外に毒の範囲を示していた。


無事に帰った後、一体あの白い蛇が何なのか調べた。そこで世界七大魔獣、白蛇江について知った。その時、倒してやるみたいな気持ちはなかった。だって攻撃されたわけでもない、ただ出くわしただけだから。


名誉や報酬を得るために討伐する人がいたとは本に書いていたが、みんな女性で実力がある者ばかり。いくら魔力を当時からあっても、男であるのだから、まだ女性には負けていると思っていたさ。本当の理由は俺がヒロイズムが嫌っているからなんだがな。そういうこともあってむしろ倒すのが面倒だと思っていたさ。

え?そういうところが嫌い?知らん。


結局、俺は倒すことを決めた。白蛇江は定期的に移動する習性があり、そのせいで森の動物がたくさん食われていった。動物が減りすぎて、俺らの生活に支障がおきた。最初はこれも摂理だと割り切っていたが、森の生態系が無茶苦茶になり、タテガミベアーや隻眼黒色ウルフなど森の奥に住んでいた魔物が白蛇江を恐れ、逃げ出した。その結果、町は襲われた。なんとか最小限の犠牲で守ったが、町の人たちは白蛇江が森にいることすら知らず、森に入ることを禁止しようなんて意見もあった。

俺は白蛇江がいるとは言わなかった。言ったところで男子だから子供だからと信用しないことはわかっていたから。よく森に入っていた俺は禁止にされるのが嫌で白蛇江に挑むことにした。

森に入ってた理由?魔物を倒してた。魔力増幅説を知っていたから。

なんで男にも通用するのって?とある方法で男であっても魔力を増幅できるんだわ。

とある方法を教えろ、嫌い?そんな怖い顔をしても美しい顔をしていることしかわからないし、今、教えるわけにはいかない。重要な情報ほど影響力大きいからね。


話を戻すが、そうして俺は誰にも伝えずに森に入った。魔物の件があったから森の奥に向かっていくと違和感を感じた。濃霧と晴れているところが境目があるように綺麗に分けられていた。一度目の時は徐々に濃くなっていたが今回はそうじゃなかった。だから食べることで力を回復させていると判断した。霧を風で飛ばすことも片隅にはあったが毒を撒き散らすことになってしまうのではないかと考え、諦めた。毒に関しては魔力を体の外層のように纏わすことで対策していた。魔力を貫通することも考え、毒に対する耐性もつけていた。


濃霧の中に入り、白蛇江を発見する。後ろ姿を見せていたのでこれ幸いと胴を切りにかかった。鱗は硬かったが皮膚に刃は届いた。しかし白蛇江は平然と尻尾を高速で振って攻撃してきた。弾き飛ばされたがなんとか防御が間に合った。やつは俺の方を向いてきた。俺は噛み付く動作を確認し、余裕で回避できた。白蛇の攻撃はたいして脅威ではない。大きな蛇がしそうな攻撃ばかりしてくるだけ。簡単に隙をついて攻撃できる。でも倒せない。


白蛇江の最大の武器は知っての通り異常な再生能力。一撃一撃が俺からするとあまり戦いたくない敵ではある。回避できるけど攻撃が弱い俺対攻撃が当たらないが再生能力をもつ蛇という構図であった。時間をかければ俺の回避が失敗するかもしれない白蛇江の再生能力が限界にくるかもしれない、そう俺は考えた。結果として失敗。相手の再生能力は落ちなかった。その頃には俺はボコボコにされていた。逃げようとしても追ってくるが、気付いたことがあった。白蛇江は全身が浸かるほど深い水の中に入らないことに。あまり手札は見せたくないのでカットするが色々やって水の中に入れることに成功。俺の読み通りそのまま白蛇江は溺死した。これにて終戦となった。












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