第4話

『さ〜さ〜の〜は〜さ〜らさら〜

の〜き〜ば〜に〜ゆ〜れ〜る〜』





遠くの方から、微かに歌が聞こえてくる。

これは、商店街に設置されているスピーカーから流れているのだろう。


それよりも、この歌…




「今日って、七夕なんですか?」


「あぁ」


「知らなかった…」





彼に連れ戻され、この部屋に戻ってきてすぐ。


1週間ほどは意識のない状態で彼に治療してもらっていた。

そしてある程度回復してから、めっちゃくちゃに抱かれていた。



そのせいか、今が何月何日なのかなんて頭からすっぽりと抜けてしまってようだ。



つまりは、

やっぱり全部こいつのせい、ということである。(全部こいつのせいにしたいだけ)




よし、お願い事をしよう。






どうか。





どうーーーーーーーーーか。






織姫様、彦星様。







今年ことは、

今年中こそは、











この男の綺麗な顔をメタンメタンのグッチョグチョのドロドロになるまで殴れますように。












「無理だな」


「………私、何も言ってないじゃないですか」


「言わなくても読まなくても、お前の願い事なんてたいていわかる」


「………いいじゃないですか!願望くらい!」


「願望って思ってるだけ、自分でもできないのわかってんだな?」


「…………ゔぅ〜」


「猫かよ」






いけしゃあしゃあとぉぉぉぉぉ!


というか無理なのか。

私の願いは一生叶わないというのか。



頼む。

もうこの際織姫と彦星じゃなくてもいい。


……もう誰でもいいから私の願いを叶えてくれ








ムカつく。

なんでこんなにこの男といるとイラつくのか。

いや、違うか。

この男だからイラつくのか。




イケメンだからって、なんでも許されるとでも思っているのかぁ⁉︎





それは大間違いだぞ。


イケメンでもなぁ、性格悪かったらぜっっったいモテないから。


俺様鬼畜ヤロウがモテるのは本の中だけですからぁ〜?

現実でそんなことされてごらんよ。

みんなドン引きよ?



何こいつ、自己中やん。

ってなるから。


きもっ!

ってなるからぁぁぁ!!





「どうせ俺と関わるのはお前だけだろ」


「いやいや。交流持ちましょうよ。

というかまたかってに人の思考を読みましたね。

プライベートまで踏み入っちゃダメですよ?

女の子に嫌われちゃいます」


「女に嫌われて困ることはない」


「そうですか。

それじゃあ遠慮なくあなたのこと嫌いになりますね」


「今からか?

ってことは、今まで俺のこと嫌いじゃなかったってことだな」


「…………」







……あれ?おかしいなぁ?


私って、自分でも天才だと思うくらいには頭良かったと思うんだけどなぁ?



というか、自称でもなんでもなく、

私は自他ともに認める人類最高の知能を持っているはずなんだけど、なぁ….?




………なんでこの人の手のひらの上で転がされてるんだろうか。







「頭良いなら何とかして俺のこと騙せよ。

お前なら簡単だろ」


「……私をなんだと思っているんですか。

心どころか思考まで読んでくる相手に、何をどう対処しろと?」


「さぁ?」


「…………………」







さぁ、全国の皆さん。

ご唱和ください。













ふざけるなこのアンポンタンくるくるパー鬼畜星人!!!!!!!!!



理不尽すぎるんじゃボケェーぃ!

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