崩壊・息吹編

5章 1話 「「「「発進っ!」」」」

 ドンッと大地が大きく揺れ、ぶわっと辺りの景色が真黒に染まった。

 そしてメアのレーダーにピピッと赤い点が現れる。


「来たっ!」

 僕はクラーフからの合図に声を張り上げ、ピピピッとタッチパネルを素早く操作した。


「皆、行くよっ!」

 僕が声を張り上げると、同線している子供達全てから覚悟の乗った返事が返される。


 反旗の狼煙があがった。

 いよいよ僕ら子供の蜂起が始まる。


 その鯨波として、うーうーと甲高いアラートが響き渡り始め「コード481、ナイトメア本部強襲が発動」と、機械的ながらも切羽詰まった警報があげられた。


 僕達はそれを聞くや否や、「緊急操作、起動!」と声を張り上げる。


 一致団結した声が揃うと、続々と各庫から「メア機一号」「レイティアA142號」「レイティアS098號」「レイティアW889號」……と、アナウンスがかかる。


 どんどんと重なり、高まるアラート。プシューップシューッと立ち上る煙。

 ゲートがごうんごうんと物々しい音を立てて開き、次々と機体を露わにする。


「「「「発進っ!」」」」

 僕達の声が勢いよく飛ばされると同時に、ガクンッと大きく機体が揺れ動き、シャフトを急速に駆け上がっていく。


「さぁ行こう、メアッ!」

 ぶうんっとコックピットの光が、いつも以上に明るく広がった。


 それと同時に、僕達はバッと外の世界へと飛び出す。

 その勢いのまま突き進んでいると、後続からぞくぞくとレイティア達が合流し始めた。


 これが僕達の作戦。まずクラーフが強襲し、コントロールルームの機能をダウンさせ、大人からの制御を受けなくさせる。

 そうして反逆に動く僕達の緊急操作を可能にし、大人達から受ける強制停止を阻んだのだ。


『心配なんていらねぇよ。ハゲ共をぶちのめすのはアタシの役目。ハジャの役目は、皆を連れて庇護地を破壊する事だぜ? アタシはぜってぇこっちの悪夢を終わらせっから、ハジャもそっちの悪夢を晴らして来いよ?』

 作戦開始前、拳を付き合わせて別れたクラーフの姿が思い返される。


 ……クラーフは約束通り、デューアの幹部達を抑えてくれた。

 だから次は、僕の番だ。


 グッと拳を作り、「モード豪速!」と声を張り上げる。ピピッと甲高い機械音が弾け、メーターがグンッと一気に右に振り切られた。


 広がる視界もグッと狭まり、風を切る様にメアが空を進んで行く。


「今ここで、長く続いた悪夢を終わらせるんだ!」

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