第9話 生活レベルを下げる

 生活レベルは一回上げると下げられないとよく言います。

 実際、一旦上がったものを下げるというのは辛いものですね。

 しかし、それを逆手に取って頑張れるということがあるのも事実でしょう。


 これはこれで良いと思うのですが、それでも、あまりそこにこだわって、「生活レベルを下げたくない」って頑張っていると、どんどん自分を追い込むことになります。

 もちろん、それで社会的に成功したり、自分が成長したりはあるでしょう。

 だけど、だから幸せだということでもないです。

 上に上がるということは、それにともなって身動きがとりにくくなるということもあります。


 生活レベルが下がるのが嫌だって思う気持ちの中身って、もちろん裕福な生活を手放したくないっていうのはあるでしょうが、それよりも単にレベルが下がるということに対する心理的な抵抗感の方が大きいでしょう。


 しかし、実際は生活レベルって多少下げてもあまり困ることはないです。

 例えば、住んでいた家を少し間取りの小さい家に引っ越しても、そんなに困ることはないし、外食の回数が減ったところでどうってことないですよ。


 好きなものが買えなくなるとかもあるでしょう。

 しかし、そういうこともよくよく考えたら、別にそれほど欲しくなかったのに、買えるから買っていたものって結構あるはずです。

 なんせ世の中には、物を売りつけようと必死でプレゼンしている人だらけですからね。

 もともとそんなもの欲しいとも思っていないのに、そういう人たちは欲しいという気持ちにさせてきます。

 自分のやってきたことを考えると、ほとんど他人の影響です。

 つまりそういうものを売りたい人のプレゼンに流されてきてしまったように思います。


 そして問題は、本来は自分は欲しいと思ってもいないことのために、お金を使っているということです。

 そしてそのお金を得るためには普通は仕事をするわけで、人生の一部をそこに使っているわけです。

 つまり、本当は欲しくもないもののために、自分の人生の一部を切り売りしているということです。

 そんな風に考えると、生活レベルを下げるっていうのは、可能な限り下げられるだけ下げた方が充実した人生になるんじゃないかって思えるのですが、皆さんはどう思うでしょう。

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