第4話

「翠、そろそろ起きないと大学遅れるぞ。」



「う、ん…。」



カーテンから朝日が差し込み、部屋には湊が入れたコーヒーの匂いが漂う。



寝ぼけ目を擦りながら身体を起こすと、湊が私の頭に手を置く。



朝が弱い私の頭をこうやって撫でたり、指に髪を巻きつけたりして遊ぶのは、湊の朝の日課だ。



「湊…今何時…。」



「8時。お前、今日2限からだろ?朝弱いんだから早めに準備しないと間に合わないぞ。」



「うん…そうだね。」



「朝食作っとくから顔洗ってこい。」



「ありがと…。」



名残惜しくもベッドとお別れをして、のそのそと洗面所へと向かう。



朝が弱いのは昔から変わらないけど、湊が朝起こしてくれるようになってからは特に弱くなった気がする。



どうやら誰かが起こしてくれるはずだ、という安心感があるとゆっくり眠れるらしい。



「はぁ…。」



ぼーっとする頭を一生懸命回しながら、とりあえず冷水を顔に浴びせた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る