第2話

あの日、あの時。



私が湊に出会ってなかったら、私はとうにこの世を去っていたと思う。



それほど私は弱くて、生きるのが辛かったから。



増えていく傷も、涙で枕を濡らして過ごす夜も、孤独に襲われる1人の部屋も。



私はどれも嫌で、全て捨てて早くここを去りたかった。




『お前、死にたいのか。』




初対面でいきなりそう言ってきた湊に、私は恐怖さえ覚えた。



何もかも…見透かされている気がして。



その真っ黒な瞳に惹き込まれるように私は、あの時湊に堕ちたんだ。




『俺が地獄に案内してやろうか。これでも“死神”なんだ。』





そう言った湊の背後には、底知れぬ闇が眠っている気がした。

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