第5話
「大きなつづら」を所望して、化け物が中から出てきた欲張りばあさんの
だいたいがハロウィンの乱痴気騒ぎの一環で、…と冗談に紛らわされたらそれまでだ。このかぼちゃのお化けにしても見るからに胡散臭いといえばうさん臭さの極致である。
無難なほうを選ぶことにして…「TREAT!」と、叫んだ。
「ボクは昔から平和主義者で…無宗教やけど、キリスト教が愛と幸福のレリジョンやというんも知ってます。ハロウィンでもあるし…世界人民みんなの幸福と、全世界の平和を願います!」
ジャックランタンは、”かぼちゃに目鼻”の、Literallyに”無造作”な御面相に、かすかに笑みを浮かべた。いや、そんな気がしただけかな?
「79年前にオレを呼び出した奴は、自分の幸福を願った。そのとたんに例の”ピカドン”がさく裂したんや。お前は見かけによらずなかなか怜悧な奴かもしれん。…Good job ! ご褒美に、その女の子をおまえに惚れさせてやるよ!二人で今宵の残りをエンジョイしてくれ!ハッピーハロウィン!」
…ジャックランタンは現れた時と同じように「ドオオオン!」と爆発音と濛々たる煙とともに当たかたもなく消え失せた。
「う、ううん…」と、同時に、レモンちゃんが目を覚ました。
「びっくりしたけど、あれ、いったいなんだったの?」
「よくわからんけど、本物の妖精だったみたいやねん。なんかおかしな問答をしたけど…あ、そうか!だから「ぜえええええったいに検索してはダメ」やったんやな!」
…レモンちゃんには詳しいことは端折ったが、ジャックランタンもまったくのこけおどしではなくて?何かの魔法にでもかかったように、レモンちゃんはぞっこんとおれに首ったけになっていた。
…前代未聞で空絶絶後なくらいに、ハッピーな夜を、オレは過ごしたのだった。
別嬪極まりないレモンちゃんが実はオカマだったことを別にすれば。
<了>
掌編小説・『ハロウィンの一夜妻』 夢美瑠瑠 @joeyasushi
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