第3話
”レモンちゃん”の、好奇心旺盛な様子につられて、その、「今年のハロウィン限定」らしい、”検索するのに勇気のいる言葉”を、思い切って、一緒にググってみることになった。
「Tlick or Tleat ? 」 というのが、その㊙の検索ワードらしかった。ハロウィンの代名詞みたいな決まり文句で、「お菓子をくれないとイタズラするよ!」と、近所を巡回している仮装した子供が、玄関でいう言葉らしい…が、よく見ると微妙に綴り間違いしている。そこがミソの暗号なんだろうか。
少し年期ものの、ボロイ、オレのパソコンに、くだんのワードを厳かに打ち込んで
”search”のボタンをクリックする。と。・・・
画面が、飛び降り自殺した人間に起こるらしい?”パノラマ視現象”のように、ぴかぴか明滅して、めまぐるしく様々な映像を映した。なぜか、ベートーベンの「運命」のサビが流れる。そして、金色のゴシック体の文字で、厳かに「もし、何が起きても後悔しない場合は、”Tlick”、やめる場合は”Tleat”の上を、クリックしてください」という不思議なメッセが出た。
好奇心で爛爛と眼を輝かせている”レモンちゃん”とふたりで顔を見合わせて、一緒に「うん!」と力強くうなずいて、”Tlick”をクリックした。…
…と!
…あっけにとられているおれたち二人の前に、
「ドカアン!」と、爆発音がして、濛々と煙が立ち上って、その煙の中から、
あの、例のかぼちゃのお化け、”ジャック・オー・ランタン”の、等身大の着ぐるみ?を着た大男が出現したのだ! いや、出現の仕方もまるでマンガだし、本当の妖精?と思ったほうが正しいのだろうか?
「きゃー!!!」と悲鳴を上げて、レモンちゃんが失神した。
べからずといわれている「いたずら」のほうをわざわざ選択したのだから、覚悟はしていたが、おれもあまりの藪から棒?の珍事?椿事?に、腰が抜けそうに驚いた。
(それにしてもなんで椿の字なのかな?)
<続く>
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