三十三、論理くん、トイレで…
あれから、平穏無事な毎日が続いている。論理と無視し合っていた頃が嘘のようだ。無事に、論理とわかり合うことができてよかったと、心から思う。やっぱり、平穏無事が一番幸せだよね。この幸せが、ずっと、ずっと、いつまでも続きますように…。
論理と私は、毎週日曜日になると、鶴賀中央図書館に行って勉強をしている。その帰りの夜には、決まってあの公園でえっちなことをする。時々あのときの浮浪者がいて、私たちに注意してくれるけれど、論理は、頑として公園でのえっちをやめなかった。
合唱部の練習中、西山先生から、次の部長の発表がされた。なんと、それは私だった。合唱コンクールのときに、西山先生から、『そういう者と和解していくのが次の部長の役目だ』と言われたのを思い出す。あのときの言葉って、やっぱり私に向けられていたものだったんだ。新部長が発表され、みんな、私に向かって拍手をしてくれる。良い顔をしてくれる人もいたけれど、中には、しらけているような人もいた。はぁ、私、みんなをしっかりまとめられる部長になれるのかなぁ…。嬉しさよりも不安が私の脳髄を埋め尽くしていった。
「新部長!」
私が優衣と帰り支度をしていると、後ろから、皮肉たっぷりの声をかけられた。そこにいたのは、佐伯さんだった。佐伯さんは、私の部長決定に不満を持っているようで、さっきの部長発表のときも、私を睨み続けていた。佐伯さん、部長になりたかったのかな…。
「なによ、佐伯、なんの用?」
優衣が、私を守ってくれるように一歩前へ出る。
「あたしが用あるのは部長だ。てめぇじゃねえよ」
佐伯さんが私を睨みつけてそう言う。荒っぽい口調に反して、その声は高くて甘いベビーボイスだ。合唱のときも歌声がよく目立つ。ちなみに佐伯さんの髪型はおちょんぼ。そして顔も結構かわいい。
「ふん、あんたのしゃべり方も、なかなか品があっていいんじゃない?どんな育ち方をすればそんなしゃべり方になるんでしょうかぁ?」
優衣の挑発に、佐伯さんは顔を怒りで歪めた。
「うるせえ!てめぇは黙ってろ!」
佐伯さんは優衣にそう怒鳴ると、私を睨みつけた。
「池田、あたしは絶対にてめぇのことなんか認めねえからな。あの、コンクールのときだって……来てくれたのに…あたし一生懸命…歌ったのに……、てめぇの話ばかりしやがって…!くそっ!」
佐伯さんは、一人で何かブツブツ言いながら怒っている。
「はあ?言ってることがわからないんだけど。ちゃんと日本語しゃべれますかぁ?」
「向坂は黙ってろっつったろ!…とにかく!てめぇは部長になれるような器じゃねえよ!」
ズキっ!佐伯さんの(妙にかわいい)声が私に突き刺さる。佐伯さんは、私を傲然と睨み下ろし、さっさと音楽室を出て行った。確かに、私はそんな器じゃないかもしれない…。私は項垂れた。
「佐伯の野郎…!ぶんちゃん!気にすることないよ!ただのやっかみだよ!」
優衣はそう言ってくれるけれど、私はもう、部長になったことを後悔していた。
「へぇ、そうなんだ!文香合唱部長になるんだね!すごいや!でも、文香のあの透き通ったソプラノを考えれば、順当な人選だね」
帰り道。論理に、私が合唱部長になったことを言うと、論理は自分のことのようにガッツポーズをして喜んでくれた。
「ありがとう。でも、うまくやっていけるか不安で…さっきも佐伯さんに、そんな器じゃないって言われたし…」
「そんなこと言うやつがいるのか…俺が黙らせてやる。…と言っても、どこの組織にも不穏分子はいる。西山先生は和解しろと言ったけれど、縁のない人々はどこまでも縁がない。その辺りは割り切ってやろうよ。先生が言ったように俺も陰で支えるからさ」
「ありがとう、論理。でも、和解できるものならしたい。そのために私がんばるよ、なんとかやってみる」
「文香らしいな」
論理は、ちょっと苦笑まじりにそう言った。そして私を励ますように、背中をぽんぽんと叩いてくれる。そうだよね、どんなことがあっても、この人がいる限り私はやっていける。私はそう確信して、論理に微笑んだ。
次の日の合唱部の朝練では、音楽祭に歌う、合唱コンクールでも歌った『わたしが呼吸するとき』を練習した。私は早速部長として、みんなの前で先生に挨拶をしたり、指示を出したりしてみんなをまとめた。パート練習をするときは、パートリーダーも務めた。どれも初めてのことでぎこちなかったと思うけれど、みんなはなんとか私に付いてきてくれてよかった。これからも、この調子でがんばっていこう。そう思った。
今年最後のプールの時間が終わった。論理は、相変わらず、私が泳ぎだすところや、飛び込むところ、水中一回転とかを見て、ちんこが大きくなって、みんなにからかわれていた。その日、授業が終わって、丁度部活もなかった私と論理は、教室に二人きりになっていた。
「文香、今日も、一生懸命泳いでいたね」
「うん。論理が見てると思って、バタ足も必死でやったよ」
「飛び込みも良かったぞ」
「今日も、思い切りお腹打っちゃった。どうしてもうまく飛び込みできないんだよね。嫌だぁ」
「それでも、痛いの我慢して、必死にバタ足をした」
ふと気づくと、論理が、私の背後に回っている。両腕が、私の乳房をめがけて、すーっと伸びてくる。
「どうして、そんなに、必死にバタ足をするの?」
両腕に力がこもる。
「論理が喜んでくれるから!」
「どうして、俺が喜ぶことをしてくれるの?」
さらに両腕に力がこもる。
「論理が好きだから!」
「ありがとう!」
論理は、私の乳房を抱えて、私を立たせた。論理の腰が、私の腰に当たる。制服越しにでも、はっきりわかる、論理の二十センチ。論理が、熱い吐息を吐きながら、私のうなじに激しくキスをしてくる。両腕は、乳房を痛いくらいに握りしめたままだ。
「もう、論理、やだ、こんなところで…誰かに見られちゃうよ」
「うるさい。見られたら、見られたでいい。減るもんじゃなし」
「私は嫌だぁ」
論理は、そんな私の言葉は意に介さず、なおも私の乳房を揉み、熱いものを私の腰に押し付けてくる。論理はそうしながら、左腕をポケットに移動し、何かを弄ったあと、取り出した物を、私の目の前に見せた。
「文香!あるぞ!やろう!」
「えぇぇ⁉︎論理、なんでコンドームなんて今持ってるの⁉︎ここ学校だよ⁉︎おわかり⁉︎」
論理は、それでも、私のうなじを熱い舌で舐める。
「学校も何も、男ならこれは標準装備だ。さぁ、文香、この場で展開してもいいぞ」
「無理だよぉ、誰かに見られたら、自宅謹慎ものだよ!」
「なら、どこかに隠れてやろうぜ。あの掃除道具入れはどうだ」
「二人も入れないよ!それに、掃除道具入れが勝手に動いてたら怖いでしょ!」
「よし、それじゃあ、男子トイレだ」
「えぇぇ…誰か入ってきたらどうするの?」
「入ってきたら入ってきたでいい。減るもんじゃなし」
論理は、そう言って、私の腕をつかむと、ぐんぐんと引っ張って、トイレの前まで来てしまった。あぁ、まじかぁ…。でも、何故か嫌じゃない自分がいた。
「それじゃ、俺は、中に誰もいないか確認してくる。文香、少し待ってて」
論理は、中に入っていった。すぐに出てきて、男子トイレから、いいよ、来て、と、手招きする。私は、廊下に誰もいないことを確認したあと、中に入った。
「論理…本当にやるの?」
「やる。さぁ、入って」
私たちは、男子トイレの個室に入った。やりやすい和式便所だった。でも二人で入ると少し狭い。もう、こんな所でするなんて汚いし、誰か来たらやばいよ…。
「文香…!」
そんな私の不安を断ち切るかのように、論理は、私の体を抱き寄せ、私たちは唇を重ねた。舌が入ってきて、絡め合う。ぴちゃぴちゃという、リップ音が、トイレ内に響く。何か悪いことをしているようで、私は、少し燃えてきた。誰も来ませんように…!そのうち、論理の右手が、私の左の乳房に伸びてきて、揉みしだき、唇が離れた。論理は、セーラー服の裾を捲り、ブラジャーを上にずらすと、乳房を露出させ、その乳首を指で弄る。
「あっ…あぅ…っ…」
あまり声を出したら、外に聞こえちゃうかもしれない…。だから私は、あまり声を出さないように心がけた。
「文香、声、我慢してるの?いいよ、もっと出して」
そう言って、論理は、乳首を弄る指の動きを早めた。
「あぁぁうっ!や、やめて、論理…っ!はぁっ!」
声が出ちゃう…ダメだよ、私…でも、なんか燃える…なんだろう、背徳感っていうのかな…あぁ…濡れる…。
「文香の感じてる顔、かわいいよ」
「やだっ、恥ずかしいからあんまり見ないでね…っ」
ひとしきり乳首を弄り終えた論理は、しゃがみこみ、パンツの上から私のおまんこを撫でた。
「文香、ちょっとタンクに寄りかかってくれるかな」
「こう?」
私は、論理の言う通り、タンクに寄りかかった。すると、論理は、私のパンツをゆっくりと下ろしていった。
「や…やだ…汚いよ…」
足首まで下ろし終えると、論理は、意地悪くほくそ笑んだ。
「文香、何これ。ショーツにまで愛液付いてるじゃん。嫌だ嫌だといってた割には、結構燃えてるの?」
論理は、ショーツの上に付着している愛液を指で取ると、それを自分の口に運んで舐めとってみせた。
「ち、違うよぉ…うぅぅ…」
「なにが違うの?」
論理はそう言い、私の膣に指を入れた。
「あぁっ!はぁぅ…」
「ほら、もう、びちょびちょ。ふーん、学校でやるのがいいんだ、文香」
論理は、膣の中を少し弄ったあと、指を抜いて立ち上がり、それを、私の目の前に見せた。
「ほれ、自分の愛液を舐めてみなさい」
論理は、私の口の中に、愛液の付いた指をおもむろに差し込んだ。
「あう!ううう!うーうーっ!うー!かはっ!やだぁぁぁっ!汚い!」
あまり味はしなかったけど、こういうのやられるの、好きかも…はぅ。論理はもう一度しゃがみこみ、また、膣に指を入れて、今度は激しく上下に動かし始めた。
「ああっ!あんっ!あっ!ぁあっ!」
声が出ちゃう…。私は、自分の手で口を覆った。しかし、論理の指は止まらない。私の声も止まらない。そしてすぐに、潮が膣から吹き出し、私の足を伝っていく。
「あん!あん!あぁぁうう!ぁん!あんんっ!」
はぁ、トイレでやるの、クセになりそう…。でも、本当に誰もいないよね…。まぁいいか、見つかったら見つかったときだよね!論理は、膣から指を抜くと、ズボンのファスナーを開け、熱い二十センチを出した。そして、コンドームを上に被せる。
「文香、タンクに寄りかかって、今度は、俺にお尻を突き出して」
私は、その通りにする。論理は、スカートの裾を捲り、お尻を撫でると、お尻の穴にちんこを入れようとした。
「痛い痛い!そこじゃない!」
「え?文香、前にお尻でイッたじゃない。やろうよ」
「やだやだ!ちんこは入らないって!」
「しかたないなぁ」
論理は、やっとのことで膣にちんこを入れてくれた。
「うっ…!あああっ…!はあぁああっ!」
入ってくる…論理が、愛おしい論理が。それだけで、私の体は絶頂寸前になる。
「文香、いくぞ!」
論理は、腰を動かし始めた。私は、タンクに押し付けられ、その度にタンクからカタンカタンと音がする。
「あっ!あっ!あぁぁっ!ああん!あん!あはぁぁっ!」
論理に突かれるたびに、私は、嬌声を上げる。すっかり慣れてしまった自分の喘ぎ声。あぁ、外に聞こえていませんように。誰も聞いていませんように。でも、そんなことはどうでもいいくらい、気持ちいい…!論理、論理、論理…!
「文香ぁっ!」
論理が、口から熱い息を吐きながら、苦しそうに声を上げる。それがとても色っぽくて、私は、また感じてしまう。
「論理ぃっ!ああぁぁっ!んっ!」
「愛してるよぉっ!」
「あんっ!あいし、てるよぉぉっ!」
「大好き、だよぉっ!」
「大好きだっよぉぉっ!」
「ずっと一緒っ!だよ!」
「あぁはぁあぁっ!ずっと、一緒だっよぉぉぉっ!くっ、あっはぁぅぅぁっああっ‼︎」
私は、タンクを抱きしめ、体をこれでもかというくらいに反らし、足をガクガクと震わせながら、果てた。
「くっ…!あふぅぅっ!うぅぅっっ‼︎」
論理も、果ててくれたみたいで、私の背中にドサっともたれかかった。私たちの荒い息遣いが、トイレに響く。論理が、後ろから私の体を抱きしめてくれる。果てたあとの余韻。と、そのとき──!
コンコン。
私は、小動物のように、飛び上がり、息を飲んだ。え?今、コンコンって、聞こえなかった?
コンコン。
やっぱり‼︎個室の外から、誰かがノックしている!確実に!しかも、こんなタイミングで!まさか、聞かれてた⁉︎私は、論理と顔を見合わせる。やばい、私たちは窮地に立たされた。どうしよう…。とりあえず、セーラー服を直して、いつでも外に出られる格好になった。
「論理、どうする?」
私は、小声で論理に問う。
「まず、俺が先に出るから、文香はしばらくしてから出てきて」
「でも、扉の向こうにいる人が、私が出る前に中に入ってきちゃったらどうするの?」
「……それもそうだな」
あぁ、もう終わりだ。黒い雨が論理と私の頭上に降る。もし、先生だったら、自宅謹慎かな…はぁ…でも、気持ちよかったから、まぁいいか!
「よし!文香!突撃だ!相手が誰であろうと、文香だけは守り抜く!行くぞ!」
「え⁉︎論理⁉︎」
論理は、そう言って扉を開けてしまう。果たして、そこにいたのは──!
「よっ。なかなか粋なことをしてるじゃないか、お二人さん」
「………っ、坂口くん」
そこにいたのは、なんと坂口くんだった。坂口くんは、ポケットに両手を入れ、片足に重心を置いて立っていた。私には、それが少しかっこよく見えた。
「坂口…てめぇ…驚かしやがって…何故こんな所にいる!」
「論理、そう怒るな。忘れ物をして教室に戻って、トイレに来てみたら、喘ぎ声が聞こえるだろ?驚いたのはこっちだ」
「坂口くん…」
「安心しろ、誰にも言ってないぞ。ただ俺は聞いていただけだ。それにしても、いい声で啼くなぁ、文香」
坂口くんは、ニヒルに笑う。私は、恥ずかしくて坂口くんから目を逸らした。
「相変わらずお前は聞き耳を立てるのがうまいな。お前に借りは作りたくない。今度の条件はなんだ、言ってみろ!しかし、その条件によっては、歯の一本でも抜かせてもらうがな!」
論理の言葉に、坂口くんは、ふっ、と笑う。
「条件なんてないさ。俺は、もう十分満足したよ。文香の喘ぎ声が聞けたってだけでな」
「坂口…っ‼︎」
「さてと、俺は帰るぞ。お前たちも早く帰れ。先生が見回りに来る前にな」
坂口くんはそう言って、トイレから出て行った。
「くそっ‼︎いつもいつもいいところを取っていきやがって!坂口めっ‼︎」
論理は、小便器を蹴った。
「論理…、まぁ、声は聞かれちゃったけど、あの声は、坂口くんのおかげで出るものじゃない。論理のおかげで出るものだよ。私は、論理しか見えないよ」
私は、そう言って、論理を抱きしめた。論理も、抱きしめ返してくれた。
「文香…ありがとう…」
私たちの絆は、誰にも切られやしない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます